『シュガーロード』日本遺産認定 「日の目見た」と安堵 観光復興へ期待

砂糖を保管していた様子が再現されている三番蔵=長崎市、出島和蘭商館跡

 「ようやく日の目を見ることができた」「世代を問わない観光素材に」-。本県と佐賀、福岡両県の8市で申請していた「砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード~」が日本遺産に認定された19日、構成資産のある長崎、諫早、大村の関係者からは安堵(あんど)や期待の声が上がった。
 シュガーロードは5度目の申請で待望の認定。関係都市でつくる連絡協議会の一員として取り組んできた「岩永梅寿軒」(長崎市諏訪町)の岩永徳二社長(71)は「ほっとした。出島に砂糖が入ってこなければ日本の食の世界は変わっていた」と歴史の重みを誇らしげに語った。一方で「認定が自己満足にならないよう、その歴史を後世に伝えていく使命がある」と気を引き締める。
 新型コロナウイルスの影響で激減した観光客の“呼び水”としての期待もかかる。国指定史跡「出島和蘭商館跡」(同市出島町)の運営管理事務所の中村哲所長(64)は「スイーツは時代、世代、国境を超えるコンテンツ。歴史とともに五感を使った楽しみも提供できないか考えていく」。
 市内で15年以上「さるくガイド」を務める桐野耕一さん(64)は、近隣を旅行するマイクロツーリズムの需要増加を予測。「市民が甘い物を食べながら街中の魅力を再発見する」。そんな観光メニューを打ち出していきたい考えだ。
 出島から長崎街道を通り、各地の文化を取り入れながら広がった砂糖文化。諫早おこしを製造する「菓秀苑森長」(諫早市八坂町)の森淳社長(51)は「海外の人にとっても魅力的な歴史。『おこしルネッサンス(復興)』につなげたい」と意気込む。
 「元祖大村角ずし やまと」(大村市本町)の5代目、永田隆利さん(34)は認定を「光栄」と喜び、「大村寿司(ずし)は歴史を感じられる味。大村に限らず長崎の食文化は他と比べても面白い。ぜひ多くの人に知ってもらいたい」と話した。


© 株式会社長崎新聞社