資産10倍超で専業投資家に転身、すぽさんが成長株投資に注力したワケ

すぽさんは、成長株の中長期投資で資産を伸ばし続けている個人投資家。企業の成長力やビジネスモデルの考察に定評があり、ブログなどでも様々な視点で企業分析をしています。投資を始めたきっかけと、兼業から専業になった経緯について伺います。


持っているだけで資産が増える、かも!?

――株を始めたきっかけを教えてください。

2004年ごろ、勤めていた会社で確定拠出年金が始まりました。株、投資、運用などに興味を持ったのはそこがきっかけです。

ただ、当時は何の知識もありません。会社から運用商品のリストをもらい、そこに投資信託、債券、定期預金とか書かれているのですが、何を選んで良いのかもわからないわけです。インデックスかアクティブで選ぶなら、名前の響きに勢いがあるからアクティブにしようとか、そんな選び方をするような状態でした。

――投資に興味はなかったのですね。

なかったです。ただ、マーケティングとか企業の成長とか、そういう分野には以前から興味がありました。エクセレントカンパニーはどういう企業なのだろうとか、人を大切する経営とは何だろうとか、そういうことは日頃から一生懸命考えていました。そこに確定拠出年金の話があり、『金持ち父さん貧乏父さん』や邱永漢さんの著書などを読むようになり、徐々に投資に興味を持つようになったのです。

――具体的にどんな点に興味を持ったのですか。

世の中には持っているだけでお金が増える不思議な仕組みがあると気づきました。大半のものの価値は持ち続けることによって減るか、よくてもそのままです。しかし、株、不動産、高金利で運用しているお金は、持っているだけで増えることがあります。仮に1億円の資産があり年5%で運用できたとしたら、何もしなくても500万円入ります。その仕組みが面白いと感じましたし、趣味でやっている企業分析を真面目に取り組めば成果が出るんじゃないと思いました。そこで株をやってみることにしたのです。

バリューからグロース、中国株から日本株にシフト

――ひと口に株といっても日本株だけで4,000銘柄近くあります。投資信託などを入れるとさらに選択肢は多くなります。投資先はどのように選んだのですか。

最初は投資信託が良いのかなと思ったのですが、邱さんのウェブサイトを見てアドバイスを求めたところ、投資信託なんて買ったことがないと言います。まずは個別株を買う。とりあえずやってみましょう、と。邱さんが言うなら正しいのだろうと思ったのと、これからは中国株が伸びるといったようなことをおっしゃっていたので、中国の個別株をいくつか買ってみました。中国株投資をする人なら知っているかと思いますが、会社四季報の中国株版のような中国株二季報を見つつ、覚えたてのPERとかPBRなどを指標にしながらバリュー性がある割安株を中心に選びました。

――成果はどうでしたか。

当時は中国経済が調子がよかったこともあり、初めて株を買った05年から数年で2倍くらいに増えました。主力にしていたバリュー株はほとんど伸びなかったのですが、なんとなく儲かりそうかなと思いつきで買っていたグロース株が伸びました。

――現在のポートフォリオはブログでも公開されている通り、日本株中心です。日本株はいつから買い始めたのでしょうか。

日本株を主力にしたのはリーマンショック以降です。

リーマンショックによってそれまで着々と増えてきたお金が「行って来い」になり、それはそれで困ったなとは思ったのですが、精神的にはそこまで大きなダメージではありませんでした。またキャッシュを作って買えばいいかと、そんなふうに感じていました。

一方で、自分のそれまでの投資法で反省点を見つけるきっかけになりました。

中国株は日本株と比べて情報が少なく、ビジネスモデルが把握しづらいという難点があります。買っている株の商品やサービスを利用するのも難しいため、現地の消費者がどんなふうに評価しているのかもわからず、ユーザー側の感情の感情もわかりません。

また、ポートフォリオの面でも、それまではバリュー株を中心に買っていたのですが、なかなか上がりません。PER5のバリュー株はずっとPER5のままで、PER20だった成長株がPER40まで上がっていくわけです。

そこで投資法を見直し、成長力が期待できる日本のグロース株を主力にするようになったのです。

日々の値動きではなく企業の成長を分析

――投資法を見直してからは順調に資産を増やし、6年間で資産を10倍に増やしました。また、18年からは専業投資家として活動しています。専業になるのはもともと計画していたのですか。

いいえ、ほとんど意識することはありませんでした。結果として専業になったのも、株に専念するためというより、日々の暮らし方を変えるための選択でした。

当時は夫婦共働きで妻も正社員だったたため、なかなか子供と一緒に過ごす時間が取れません。それなら、少しまとまった資産ができましたし、投資をしたりブログを書いていけば、0.5馬力ぐらいにはなるかなと。妻と合わせれば1.5馬力あります。もちろん、株で大きくやられる可能性はありますが、そうなったらまた仕事を探せばいいですし、妻の1馬力もあります。そんなふうに考えて、子供が小1の時に専業になりました。

――専業になって相場との向き合い方は変わりましたか。

以前と比べると企業分析に関われる時間は増えました。ただ、それ以外には特に変わったところはなく、主夫を頑張っています。子供と過ごせる時間が増えましたし、日々、洗濯して買い物して料理もしています。

料理は楽しいですよね。最近はタレ作りに興味があって、例えば、醤油、みりん、お酒を同じ量だけ入れて煮物のタレを作ったり、少ししょっぱい中華系なら味覇(ウェイパー)、ニンニク、ごま油で作ったり、ポン酢、ニンニク、砂糖にごま油をちょっと入れてさっぱり系にしたり、タレの味を変えつつ、その時々の食材を煮たり焼いたり炒めたりしています。何の話でしたっけ(笑)

――専業投資家の話です(笑)。兼業投資家と違い、専業はザラ場トレードができます。デイトレードなど短期の売買はしないのですか。

ほぼしないです。日々の値動きはわからないし、当てられないと思っているので、時間軸を長めにとって成長していく株を探し、安い時に買う方が良いかなと思っています。また、この10年くらいは、「成長・ビジネスモデル・割安」の3つを見る投資を続けています。この投資法は財務諸表や会社の情報を分析することが重要で、トレード的に稼ぐ方法と比べて売買回数が少なくなります。そのため、いまも月に数回しか売買していません。

次回はすぽさんの投資法について伺います。

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