障害者スポーツの火 消さないで 全国大会2年連続で見送りへ

心待ちにしている大舞台 一つになれる温かい空間

©株式会社長崎新聞社

2015年和歌山大会で地元選手らに見送られて閉会式会場を後にする長崎県選手団。温かい交流は最後まで続く=和歌山市、紀三井寺公園陸上競技場

 10月に鹿児島県で開催予定だった第20回全国障害者スポーツ大会(全国障スポ)の年内開催が、コロナ禍のために見送りとなった。全国大会は昨年も台風の影響で中止されており、2年続けての実施見送りとなる。2014年に全国障スポ(長崎がんばらんば大会)が開かれた長崎県。障害のある人もない人も、多くの人が一つになって大会を成功させた。健常者が障害者スポーツに触れて、相互理解を深めた。今年は地区別で代替大会を実施しようという動きもあるが、全国障スポを目指して頑張り続けている選手、保護者、関係者らの不安は小さくない。「その火が消えてしまわないように」と。

 そこは、スポーツの楽しさや、やりがいを持って目標へ挑戦することの素晴らしさを教えてくれる。自らの視野と交流の輪を広げてくれる。全国障スポは障害のある人が毎年、心待ちにしている大舞台。長崎県選手団の総監督で県障害者スポーツ協会の亀田信樹事務局次長は「一度経験した選手は目の輝きが違う」と表現する。
 2014年長崎大会は、県内で多くの人がその感動や喜びを味わった。開催地は団体競技にフルエントリーできるため、新しく結成されたチームもあった。中でも、バレーボール聴覚男子とバスケットボール男女(知的)は「また全国大会に行きたい」という選手たちの熱意に指導陣が応え、通年の活動が定着。地元大会の財産の一つだ。
 バスケットボール女子(知的)は16年岩手大会から2年連続で九州1枠をつかみ、地力で全国大会に出場。次の「全国1勝」という目標へ向けて練習に励んでいる。
 バレーボール聴覚男子は12年に発足。チームづくりに携わり、エースとしてコートにも立つ長岡純斉(県立ろう教)以外、集まった選手全員は競技未経験だった。主将の中尾政弘(東芝三菱電機産業システム)は当時を「まるで個人競技みたい。試合も練習もコミュニケーションがうまく取れずに悩むことも多かった」と振り返る。
 そこから「地元優勝」を目標に、小西健一監督(虹の原特支教)らスタッフや県内高校チームなどに支えられ、少しずつ一つのチームになっていった。迎えた長崎大会は優勝こそ届かなかったが、堂々の3位入賞。翌年からは九州王座を譲らず、18年福井大会でチーム最高の銀メダルを獲得した。
 大会を終えた時、彼らは大粒の涙を流しながら、体いっぱいに互いの健闘をたたえ合う。バレーを通じて心でつながり、成長した仲間たちを中尾は「誇りに思う」。2年のブランクがあっても、夢の「日本一」へ挑戦を続けていく。

一歩一歩成長してきたバレーボール聴覚男子チーム。2018年福井大会でチーム最高の銀メダルをつかんだ=福井県大野市エキサイト広場総合体育施設体育館
2016年岩手、17年愛媛大会と2年連続で全国に進んだバスケットボール女子(知的)チーム=愛媛県大洲市総合体育館