人気のコンパクトSUVクラスを開拓した日産がジューク後継車を導入
最近の新型車にはSUVが目立つ。SUVは厚みのあるフロントマスクや大径タイヤなどによって外観の存在感が強い。ボディの上側はステーションワゴンや5ドアハッチバックに準じた形状だから、居住性や積載性も優れている。カッコ良さと実用性を両立させて、SUVは人気のカテゴリーになった。
特に日本の使用環境に適するのは、全幅を1800mm以内に抑えた車種だ。このニーズに応えて日産は、2020年6月にコンパクトSUVのキックスを発売した。
最近の日産では新型車の発売が滞り、国内における小型/普通車の新型車は、2017年9月に登場した2代目リーフ以来となり、完全な新型車となると10年ぶりの導入となる。
キックスは2010年導入の初代ジューク後継車
キックスは初代日産 ジュークの後継車種に位置付けられる。
そもそも初代ジュークは、コンパクトSUVのカテゴリーの中ではかなり早い時期に導入されたモデルだった。
2010年に発売され、日本や欧州などで人気車になったが、2019年にフルモデルチェンジされた2代目は欧州のみで発売。日本では売られていない。
その代わりに今回日産は、同社のタイ工場で生産する新型キックス e-POWERを導入してきた。
2代目ジュークが日本では導入されなかった理由とは
2代目の新型ジュークを日本で発売しなかった理由は、車両の性格が日本市場に合わなくなったからだ。
新型ジュークが搭載するエンジンは直列3気筒1リッターターボで、トランスミッションは2組のクラッチを使う7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)と6速MTになる。
日産によると「先代ジュークでは後席と荷室の狭さも指摘されたので、販売車種を車内の広いキックスに変更した」という。
ベースのキックスは既に2016年には世界デビュー済みだが…
キックスは、北米、中国、タイなど世界各国で売られ、海外で最初に発売されたのは2016年だ。従って全くの新型車とは言えないが、日本で売られるのは直列3気筒1.2リッターエンジンをベースにしたシリーズ式ハイブリッドシステム“e-POWER”搭載車のみの設定となる。
キックスe-POWERは海外でも2020年5月に発表されたばかりだ。しかもこのタイミングで、内外装デザインのマイナーチェンジも図られた。最新システムの搭載やデザインまで含めると、もともと未導入だった日本では「新型車」と表現できなくもないだろう。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:日産自動車・MOTA編集部]
次回デザイン&インテリア編の更新は7月6日!
日産 新型キックス e-POWERの詳細解説、第一弾の概要はいかがでしたか。ジュークの後継モデルが導入するまでには、様々ないきさつがあったようです。
次回の新型キックス e-POWER 詳細解説はデザイン&インテリア編をお届け。コンパクトながら広い室内空間を確保できた秘密についてご紹介します。7月6日に公開予定です。お楽しみに。
主要スペック
※スペックは日産社内測定値 。価格はいずれも消費税込み