日産 キックス e-POWERはシンプルな2グレード構成
日本で販売されるキックス e-POWERのグレード構成はシンプルだ。
ノーマル(ガソリン・ノンターボ)エンジンなどは用意されず、シリーズ式ハイブリッドの“e-POWER”(イーパワー)のみの設定となる。
駆動方式も前輪駆動の2WDだけで4WDは選べない。グレードはX(価格は275万9900円)とX ツートーンインテリアエディション(286万9900円)の2種類に絞った。
ノーマルエンジンを用意しない理由を日産に尋ねると「いわゆる選択と集中」と返答された。
キックス e-POWERはタイの日産工場が生産する輸入車だから、もともと豊富なグレードは用意しにくい。日産は昨今の業績も悪く、開発費用をなるべく安く抑えたい事情があった。
また日本ではe-POWERの人気が高く、例えばコンパクトカーの“ノート”ではe-POWERの販売が大半を占める。
ミニバンの“セレナ e-POWER”の場合は、高価なe-POWER搭載モデルの売れ筋価格帯が350万円前後と高く、セレナにおけるe-POWERの販売比率は35~40%に留まるが、それでもやはりe-POWERは主力と言って良い。
こういった事情もあり、キックスはe-POWERの2WDモデルに絞って導入されることとなった。
日本の混雑した街中や駐車場でも扱いやすいサイズ
日産 キックスe-POWERのボディサイズは、全長が4290mm、全幅は1760mm、全高は1610mmとされ、他社のコンパクトSUVではホンダ ヴェゼルなどに近い。
以前のジュークに比べると、全長は約160mm伸びた。
フロントマスクには、日産車を象徴するVモーショングリルが装着され、ボディサイドの形状は水平基調だ。比較的シンプルで、前後左右ともに視界が良い。
ボディがコンパクトで最小回転半径も5.1mに収まるから、3ナンバーサイズのSUVでありながら、日本の混雑した街中や駐車場でも運転しやすい。
比較的上質なインテリア
キックス e-POWERの内装は比較的上質に仕立てられている。
キックス X ツートーンインテリアエディションを選ぶと、シート生地を含めて、車内の質感がミドルサイズSUV並みに高まる。今のコンパクトSUVは、ヴェゼルやマツダ CX-30などを含めて全般的に上質になり、キックスもこの流れに合わせた。
キックスの室内の広さをヴェゼルやC-HR、CX-30などと徹底比較
キックス e-POWERのプラットフォームは現行マーチから採用が開始された「Vプラットフォーム」で、ノートも同じタイプを使う。空間効率が優れ、後席と荷室も広い。身長170cmの大人4名が乗車して、キックスの後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ分だ。
例えばライバル車のひとつであるマツダ CX-3の後席膝先空間は握りコブシ1つ弱、先代ジュークやマツダ CX-30の握りコブシ1つ半に比べると,余裕を持たせた。少し車体の大きいトヨタ C-HRと同等の広さを確保した。
ただし最大のライバルとなるホンダ ヴェゼルの膝先空間、握りコブシ2つ半ほど広くない。
ヴェゼルは燃料タンクを前席の下に搭載するので、ほかの車種に比べるとボディ後部の空間効率が大幅に高く、後席の足元空間と荷室容量を拡大できた。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:日産自動車・MOTA編集部]
次回e-POWERの燃費編更新は7月8日!
日産 新型キックス e-POWERの詳細解説、第2弾はいかがでしたか。コンパクトクラスなので室内の広さや使い勝手の良さを確認することは重要ですね。
次回の新型キックス e-POWER 詳細解説はe-POWERの燃費編をお届け。ライバルのコンパクトSUV各車との比較を交えてご紹介します。こちらは7月8日に公開予定です。お楽しみに。
主要スペック
※スペックは日産社内測定値 。価格はいずれも消費税込み