平戸を国際医療人の拠点に 市と長崎大の事業 採用医師が抱負

採用された池田医師(右から2人目)と杉本医師(同3人目)=平戸市内

 長崎大と平戸市が同市民病院(草積町)を拠点に本年度、始動させた国際医療人育成事業で採用された医師らが1日、市役所で黒田成彦市長にあいさつし、抱負を述べた。
 同事業は、発展途上国など医療体制が整っていない地域で活動する医師を育成する取り組み。同大が同病院に設置した「へき地病院再生支援・教育機構」に今回、「国際医療人育成室」を設け、医師2人を採用した。国内滞在時には平戸で勤務してもらうことで、地域の課題である医師不足の解消につなげる。
 同室助手として採用された医師は熊本県出身の杉本尊史(たかし)さん(44)、和歌山県出身の池田恵理子さん(31)の2人。杉本医師は同大で同事業の趣旨にかなう医師の発掘などを担当。池田医師は常勤医師として同病院に勤務する。
 市役所には同機構長で同大副学長の調漸氏と関係者、2人のうち杉本医師が訪問。杉本医師が「日本での活動拠点が確保できず、海外活動を断念する医師がいる。希望する医師にとって市民病院を魅力的な病院にしたい」と抱負を語り、黒田市長は「地域のニーズをかなえてもらいながら、世界で活躍する医療人材の拠点になればと願う」と激励した。
 同席できなかった池田医師は取材に、「平戸で地域医療の一端でも理解し、海外での活動に生かしたい」と話した。

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