倒産件数が今年最多の780件、「新型コロナウイルス」関連倒産は94件発生
2020年6月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が780件(前年同月比6.2%増)、負債総額が1,288億1,600万円(同48.1%増)だった。
件数は、2カ月ぶりに前年同月を上回り、1月の773件を上回って今年最多を記録した。
5月は「新型コロナ」感染拡大による裁判所の一部業務縮小や政府の支援策などで、大幅に減少したが、5月25日に緊急事態宣言が全面解除され、裁判所の業務も平時に戻りつつあり、再び増勢に転じた。
6月としては、2年連続で前年同月を上回った。ただ、1991年以降の30年間では2016年(763件)に次ぐ、5番目の低水準だった。
「新型コロナウイルス」関連倒産は、6月は最多の94件(2月以降、累計240件)発生。
負債総額は、2カ月ぶりに前年同月を上回った。負債100億円以上は、旅行業の(株)ホワイト・ベアーファミリー(大阪、民事再生法、負債額278億円)が1件(前年同月ゼロ)発生したほか、同10億円以上が18件(前年同月10件)と増加し、負債を押し上げた。
- 「人手不足」関連倒産35件(前年同月41件)。うち、「後継者難」が27件(同24件)
- 形態別件数:破産が708件。法的倒産の構成比97.1%で、過去最高を更新
- 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが17府県、減少20都道県、同数10県
- 負債別件数:負債1億円未満の構成比が77.1%。100億円以上の倒産は3カ月連続で発生
- 業種別件数:宿泊業、飲食業で倒産が目立つ
- 従業員数別件数:10人未満の構成比88.4%。300人以上は4カ月ぶりに発生なし
- 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は780件で、構成比100.0%
産業別 最多はサービス業他、10産業のうち、5産業で前年同月を上回る
2020年6月の産業別件数は、10産業のうち、5産業で前年同月を上回った。
最多は、新型コロナウイルスの感染拡大でインバウンド需要の消失、外出自粛などの影響を大きく受けた宿泊業や飲食業が含まれるサービス業他が278件(前年同月比24.1%増)で、2カ月ぶりに前年同月を上回り、今年最多。
そのほか、農・林・漁・鉱業16件(同166.6%増)で2カ月連続、卸売業102件(同2.0%増)と金融・保険業8件(同166.6%増)、不動産業37件(同117.6%増)が2カ月ぶりに、それぞれ増加した。
一方、2019年10月の消費増税や暖冬などの影響もあり販売不振が続くアパレル関連などが注目されている小売業は97件(同3.0%減)で、2カ月連続で減少。そのほか、建設業109件(同18.0%減)が3カ月連続、運輸業22件(同26.6%減)と情報通信業30件(同3.2%減)が2カ月連続で、それぞれ前年同月を下回った。
地区別 9地区のうち、4地区で前年同月を上回る
2020年6月の地区別件数は、9地区のうち、4地区が前年同月を上回った。
東北37件(前年同月比12.1%増)と中部99件(同11.2%増)、近畿248件(同42.5%増)、九州60件(同1.6%増)は2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
増加率が最も高い近畿は、2019年11月(208件)以来、7カ月ぶりに、200件を超えた。
一方、関東241件(同13.3%減)は3カ月連続、北海道21件(同16.0%減)と四国34件(同10.0%減)は2カ月連続で、それぞれ前年同月を下回った。
前年同月と同件数は北陸(22件)と中国(34件)の2地区だった。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
(株)ホワイト・ベアーファミリー/大阪府/旅行業/278億円/民事再生法 WBFホールディングス(株)/大阪府/持株会社/75億9,700万円/民事再生法 弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所/東京都/弁護士事務所/52億円/破産 北海観光(有)/三重県/ホテル経営/46億8,800万円/破産 (株)虎杖東京/東京都/飲食店経営/32億円/民事再生法