「食費管理ができればお金が貯まる」家計管理が苦手な人にFPが教える貯まる人への第一歩

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、2人の子どもをもつ44歳専業主婦の女性。家計管理のなかでも食費管理が苦手で赤字になってしまうそうですが……。家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。

夫婦と小学生の子ども二人の4人暮らしです。夫の手取り収入は38万円を超えており、収入が少ない方だとは思わないのですが、毎月赤字です。

私は家計のやりくりがそもそも苦手ですし、特に食費のやりくりが難しいと感じています。いつも給料日前の1週間ほどは食材を買うことを控えたり、メニューもできるだけお金がかからないように工夫したりしています。ただ、食事を楽しみながら満足してほしいので、できるだけその日に子どもたちが食べたいと希望するメニューを出したいと思っています。ですから急に必要な食材ができたりし、突発的な買い物も多くなるため、支出の計画を立てても失敗してしまいます。

給料日が来ると、今まで我慢していたものを購入するのですが、2週間もするとまた、メニューや買い物の仕方に頭を悩ませてしまいます。特にぜいたくなものを食べているわけではなく、皆さんのご家庭と変わらないような食事内容だと思うのですが、なぜか毎月こうなってしまいます。

上の子はもう6年生で、あと3年もすると高校受験です。私立を受験するかもしれませんし、公立高校に行ったとしてもそのあと大学進学をする可能性もありますから、教育費をしっかり貯めたいと思っています。ですから、この悪循環している食費をはじめとした家計を改善しなくてはいけないと思っています。

どのように変えていけばよいでしょうか。

【相談者プロフィール】

女性、44歳、専業主婦

同居の家族:夫46歳、会社員

子ども:2人(長男小6、次男小3)

毎月の手取り収入:38.6万円

年間の手取りボーナス:約80万円

貯金額:210万円

【支出状況(総支出額:41万円)】

住居費:9.4万円(住宅ローン)

食費:11.8万円

水道光熱費:2.1万円

通信費:2万円

生命保険料:3.1万円

日用品代:1.4万円

教育費:2万円

交際費:1万円

こづかい:3.5万円

その他:4.7万円


FP: 食費のやりくりが難しいのですね。ざっと見たところ、毎月の食費が約12万円。これはお子さん二人の一般的なご家庭から見ると、大きめな支出だといえます。食費の上手なコントロールの仕方を覚えると、食費だけではなくそのほかの費目の管理法のヒントにもなるでしょう。今回はその方法を中心にお伝えします。

食費のコントロールが難しい家計は1週間管理を

家計管理をするときは、月単位で見ることが多いですよね。支払い方によってはそれで問題ない費目が多いのですが、食費など日々出ていく支出については、月単位で管理するにはスパンが長すぎます。

食費の予算を渡されて、月の中で均等にバランスよく使うことができる人はそう多くないはずです。ならば、管理する期間を短くすると良いでしょう。給料が入ると、食費に限らず、景気よくお金を使ってしまうということをしがちです。先月我慢していたこれを買おうとか、そういう気持ちが出て、つい財布のひもを緩めてしまいます。

そうすると月の後半では「お金が足りなくなるから、少し締めて使わなくちゃ」と考え、支出を控えるようになります。つまり、給料日のすぐ後に支出が多く、給料日前には支出が少なくなる尻すぼみ型の支出となっているのです。

では、一か月の中で均等に食費を使うにはどうしたらよいでしょうか。毎日の食費に予算をつけると少し細かすぎ疲れてしまうので、1週間分の予算を決め、1週間単位で管理するとバランスよく使うことができます。

1週間食費管理のやり方は?

やり方は、実に簡単です。具体的には、

1) 月曜日に予算の額を財布に入れます(曜日の設定は自由です)。
2) その予算で1週間の食費をやりくりします。予算をオーバーしたら翌週から前借りします。余れば好きなものを購入したり、貯金したり自由にしてOK。
3) 1週間後の同じ曜日に金額を更新します。残額を取り出し、新たな予算額を入れます。

これだけです。難しいのは、1週間の予算を決めることでしょう。まずは現状から決めてみます。1か月は5週間ほどあります。相談者さんの場合、1か月に約12万円かかっていますから、5週間で割り、1週間2万4000円です。

まずはこれを予算として取り組んでみましょう。慣れてきたら、予算額を少しずつ減らしていくと、食費自体を下げることができます。

また、週で予算を決め均等に食費を使っていけると、次第に週半ばでお金の減り具合から「今週は使いすぎている」「あまり使っていない」の判断ができ、食費の状況が把握しやすくなります。

食費を下げられると、貯金ができるように

食費の支出のペースがコントロールができるようになったら、毎週の食費を少し下げられるように工夫してみましょう。ご相談内容からは、相談者さんの食費の使い方は行き当たりばったりで、衝動買いのようになることが多いように見受けます。

よく食費が高額になってしまうご家庭では、食材にこだわりがあったり、外食にこだわりがあったりするのですが、相談者さんのご家庭は無計画な使い方によるものが原因です。確かに子どもには好きなものを食べさせてあげたいという気持ちもわかりますが、食べたいと言われたものをその日に食べるでは食費の計画が上手く行きません。食材も余りがちになるのではないかと思えます。

時には衝動的でもよいですが、ある程度計画することで抑えられる支出が多くなるものです。子どもが希望するメニューを出す日、相談者さんが決めたメニューを出す日のメリハリをつけたり、食材を余らせないようなメニューにする日を作ったりし、相談者さんのご家庭なりの食との付き合い方を見つけていきましょう。そうして、できればはじめは2万4000円だった食費の週予算額が2万円を切ることを目標にしてみると、赤字はかなり減りますし、家計はかなりラクになるのではないでしょうか。

また食費の使い方が変わると、その他の支出もコントロールしようとする気持ちが起こる人が多いので、相談者さんも食費以外の支出を下げられる可能性があります。ですから、まずは食費から頑張ってみてください。

また、生命保険の保障内容を見直したり、スマホの契約プランを見直したりするなど、固定費の見直しも効果がありますので、ぜひ見直してみてください。

食費が改善できたら教育費、老後資金づくりへステップアップ

赤字で貯金ができず、将来的な教育費が心配とのこと。食費をはじめ、他の生活支出が下がって貯金が可能になったら、まずは大学入学までに一人300万円を目標に貯めて欲しいと思います。この300万円は私立なら入学年度とその次年度、公立なら大部分の学費を賄える金額です。不足分は大学在学中にお子さん自身がアルバイトをしたり、親の生活費からの積み立てたり、または奨学金を借りるなどで準備することが可能だと考えられます。

高校が私立になったらお金がかかりそうというご不安もあるようですが、今、私立高校の教育費無償化が進んでおり、収入によっては私立高校の授業料を負担することなく通うことが可能です。施設費や教材費などは自己負担ですが、以前に比べるとかなり楽になったと言えるでしょう。ですから、あまり気がまえなくてもよいと思います。まずは大学進学時までを目標に、コツコツ貯められるようになりましょう。

教育費とともに、ご夫婦の老後資金作りも忘れてはいけません。必要なお金が多く、大変画だと感じられるかもしれませんが、やりくりを工夫して生活の豊かさを保ちながら、コツコツ貯めてください。そのためには、まずは食費から頑張ってみましょう。そこから気付くことは多いはずです。

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