大崎、エース好投 創成館、競争幕開け

8回1失点と好投した大崎のエース田中(右)と適時打を含む3安打を放った創成館の田中=佐世保市総合グラウンド野球場

 昨秋の長崎県王者と準優勝校、大崎と創成館が順当に2回戦へ進出。久しぶりの公式戦、初戦の緊張感からか、やや攻めあぐねた場面もあったが、大崎の清水監督は「勝てたので百点。気持ちが入りすぎて空回りしたかな」、創成館の稙田監督は「流れがつかめず苦しかったが、勝てて良かった」と素直に勝利を喜んだ。
 大崎はエース田中が好投。伸びのある直球に、鋭い縦のスライダーを織り交ぜながら凡打の山を築いた。六回に1点を失ったが、得点圏に走者を背負ったのはこの一度だけ。「腕をしっかり振るように意識した。セット(ポジション)のときはいい球があまりいかなかったが、テンポよく投げられた」と振り返った。
 打線も四回まで1得点と相手左腕の緩い変化球に手を焼いたが、徐々に勝負強さを発揮し、終わってみれば3年生18人全員が出場。入学と同時に清水監督が就任して、部員不足だったチームをみんなでつくって迎えた最後の夏の、価値ある1勝になった。
 創成館も同じく18人が出場したが、こちらは8月の「甲子園交流試合」に向け、し烈なメンバー争いの幕開けにもなった。出場を決めていた春の選抜大会の代替試合となるが、3年生全42人は出られない。今大会、試合ごとに登録選手を替えながら、夢舞台に立てる20人を決めることになる。それだけに、この日、リードオフマンとして3安打と気を吐いた田中も「走塁ミスだったり、簡単に追い込まれたり、課題が多かった」と慢心した様子はなかった。
 主将の上原も「試合の入り、と言ってきたのに(初回2失点で)うまくいかず、守備でリズムをつくれなかった。集中していかないと」。チームの目標は昨秋、大崎に敗れて逃した県の頂点に立って甲子園に乗り込むこと。競争に加え、負けられない重圧も力に変えていく。

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