コロナ急拡大 初感染の五島、島原 医療体制、イベント…対応追われる

 長崎県内では今月に入り新型コロナウイルスの感染が急拡大している。21日も五島、島原両市での初感染が発表され、担当者は対応に追われた。五島市は離島だけに本土部に比べて医療提供体制が脆弱(ぜいじゃく)で、野口市太郎市長は警戒を強めた。
 21日午後3時半、五島市役所。記者会見に臨んだ野口市長は「本土のようなクラスターが発生すれば、病床はあっという間に埋まってしまう。感染がこれ以上広がらないことを願うばかりだ」と祈るように語った。
 県はこの日、同市の感染者2人が入院したため、感染状況に応じた病床確保数を定めた五島医療圏のフェーズを「0」から「2」に引き上げた。感染ピーク時のフェーズ「4」では23床を確保する計画だが、県の中田勝己福祉保健部長は「離島は医療設備や人材が限られている。重症化の恐れがあれば本土の病院に搬送して対応することを考えなければならない」と懸念を示す。
 同市坂の上1丁目の神原博さん(73)は「新型コロナ対策は長期戦で、不安だと言っても始まらない。感染した人を責めるのではなく、自分たちが今後どう感染を広げないか、工夫することに力を入れたい」と冷静に語った。
 県から感染者確認の情報が入った島原市の古川隆三郎市長は、この日の熊本出張を急きょ取りやめ、幹部らと対応を協議。各部署に指示を飛ばしたが、初めての事態に職員の間では戸惑いも見られた。
 市は午後3時から対策本部会議を開き、26日の「しまばら特産市」、20日に始めた7地区での「市長を囲む地域懇談会」の中止を決定。会見した古川市長は「島原半島で初めて感染が確認され、大変驚いている。身近にウイルスが存在するということを再認識する必要があり、新たな生活様式を市民と共有して拡大防止に努めたい」と述べた。

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