MotoGP第3戦予選:クアルタラロが2戦連続のポール獲得。中上はホンダ勢最上位の8番手

 MotoGP第3戦アンダルシアGPの予選がスペインのヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行われ、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)がポールポジションを獲得した。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は8番手スタート。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)はQ1からの予選でアタックを行わなかった。

 アンダルシアGPの予選日には、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が合流。マルケス兄は前戦スペインGPの決勝レース中に転倒を喫し、右上腕を骨折。バルセロナの病院で手術を受けるとヘレスに舞い戻り、木曜のメディカルチェックを通過した。レプソル・ホンダ・チームのマネージャー、アルベルト・プーチ氏が木曜に語ったところによると、マルケス兄は金曜の走行はキャンセル、この土曜のセッションに参加し、最終的な決勝レースへの参戦を決断するとしている。

 マルケス兄が出走する、注目のフリー走行3回目は気温26度、路面温度33度のドライコンディションでスタートした。初日のフリー走行をキャンセルしているマルケス兄が予選をQ2から迎えるためには、このセッション1回で総合トップ10圏内に入る必要がある。

 同じくスペインGPの予選で転倒を喫し、右肩を骨折、脱臼したアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)はフリー走行3回目は出走しなかった。リンスは初日総合を21番手で終えており、セッション1回分をキャンセルし予選に備えた。

 セッション開始5分過ぎ、フリー走行2回目でトップタイムを記録した中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が1分37秒235のトップタイムを記録。序盤にトップに立つ。マルケス兄は1分39秒台から徐々にタイムを詰めていき、4周目には1分38秒前半のタイムをマークした。

 マルケス兄は5ラップを走って1度ピットイン。その後走行を続行する。セッション開始20分、フランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)が1分36秒847のトップタイムを記録。さらにその数分後、クアルタラロがそのタイムを0.204秒更新。1分36秒643で、自身が前戦スペインGPで記録したポールタイム、オールタイムラップ・レコードを更新してトップに浮上する。

 続いて中上がクアルタラロのタイムから0.199秒差の1分36秒82をマーク。中上はこのタイムで2番手につけた。

 一方、マルケス兄は10周を走って、1分37秒882にまでタイムを詰めていた。1度目のピットインから5周後、2度目のピットイン。そして再び3度目の走行をスタートさせる。マルケス兄はその後も15周目にピットインしており、5周ずつ走行を行う作戦を採ったようだ。

 残り時間14分、初日総合トップのマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が2番手タイムを記録。残り時間5分を迎え、マルケス兄はQ2進出圏外という状況だ。

 ビニャーレスは残り時間1分でさらにタイムを更新。1分36秒584を記録してオールタイムラップ・レコードを更新した。さらに最後のアタックで、ジャック・ミラー(プラマック・レーシング)が3番手タイムをマーク。

 フリー走行3回目はトップにビニャーレス、2番手クアルタラロ、3番手ミラーというトップ3となった。4番手にはトップ10圏内ホンダ勢唯一となる中上が続き、初日からの好調を維持。Q2へのダイレクト進出を決めた。5番手にはバニャイアが入っている。

 マルケス兄は10周目に記録したベストタイムを更新しないままセッションを終え、19番手。総合20番手で予選をQ1から挑むことになった。また、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)も総合14番手に終わり、マルケス兄と同様Q2へのダイレクト進出を逃している。

 フリー走行4回目からは、リンスが参加。レースシミュレーションが行われるなか、マルケス兄は7周を走ってピットイン。その後再びコースインしたが10周を走行したのちピットインしてセッション終了前に走行を切り上げた。また、中上はセッション後半、フロントにハード、リヤにソフトタイヤの組み合わせで1分37秒514のトップタイムを記録した。2番手はクアルタラロ、3番手はポル・エスパルガロ。ビニャーレスは4番手、5番手はバニャイアだった。

 タイヤ選択が注目されたが、セッション後半には多くのライダーがフロントにハード、リヤにソフトの組み合わせで走行。クアルタラロは前半、リヤにソフトを履き、後半にミディアムを履いた。

■予選:ポールはファビオ・クアルタラロマルケス兄はアタックせず

 Q1は気温36度、路面温度57度のドライコンディションで始まった。ここから挑むのは、怪我を抱えるマルケス兄、リンス、クラッチロー、そしてドゥカティのファクトリーチーム、ドヴィツィオーゾとダニロ・ペトルッチのふたりもQ1スタートとなった。

 15分間の予選が始まったが、マルケス兄はコースインしたのちタイムを記録せずにバイクをピットに戻した。マルケス兄自身は、そのままピットの奥に歩いていく様子が中継にとらえられている。マルケス兄はそのままQ1でのアタックを行わなかった。

 コース上ではQ2進出へ向けたアタックが行われていた。最初のアタックでトップに立ったのは、ミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)。2番手に続くのはフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)である。

 セッション残り時間7分を切り、いったんピットに戻った各ライダーが2度目のコースイン。最後のアタックが始まった。ドヴィツィオーゾが1分を切ってタイムを更新するも、わずかにモルビデリのタイムに届かない。さらにクラッチローがタイムを詰め、3番手タイム。

 残り1分を切って、5コーナーでアレックス・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がクラッシュ。マルケス弟は立ち上がって歩く様子が確認されている。

 終盤、2番手のモルビデリが自身のタイムを更新し、ポジションをキープ。トップのオリベイラとともにそのままポジションを守り切り、オリベイラとモルビデリがQ2進出を決めた。

 続いて始まったQ2。セッション前半にビニャーレスが1分37秒102でトップ。バニャイアが2番手、3番手にクアルタラロが続く。中上はトップから0.509秒差の5番手という状況だ。

 残り時間が少なくなってきたところで、各ライダーが2度目のアタックに入る。ここでトップに立ったのはクアルタラロ。1分37秒007をマークした。最終盤、ビニャーレスがそのタイムに迫る。ビニャーレスは1分37秒を切るタイムでポールを獲得したかに思われたが、7コーナーでトラックリミットを超過していたことが判明。タイムは取り消しとなった。

 最終的に、クアルタラロが2戦連続のポールポジションを獲得。2番手はビニャーレスとなり、3番手にはドゥカティのサテライトチーム、バニャイアが並んだ。4番手にはバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がつけ、KTMのサテライトチーム、オリベイラが5番手という好位置につける。

 中上は8番グリッドで、ホンダ勢最上位。3列目から明日の決勝レースを迎えることになった。中上はチェッカー後、13コーナーでコースアウトを喫したが、転倒することなくグラベルを脱出している。

 なお、予選Q2終了後まもなく、マルケス兄が明日の決勝レースに参戦しないことが発表された。

2020年MotoGP第3戦アンダルシアGP 予選ポールを獲得したファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)
2020年MotoGP第3戦アンダルシアGP 予選ポールを獲得したファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)

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