豪州SC:第3戦シドニー。異例ずくめのナイトレースは王者が制覇。シリーズ初優勝者も誕生

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 突然の開催地変更や州境封鎖の影響を回避する混沌とした状況のなか、7月18~19日の週末にシドニー・モータースポーツパークでの第3戦を開催したVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー。第2戦に続く史上初となる同一トラック連戦は無事に実施され、ナイトレースとなった初戦をVASC連覇中のスコット・マクラフラン(フォード・マスタング/DJR Team Penske)が制し今季4勝目を記録した。

 翌日中開催のレース2は好調ニック・パーカット(ホールデン・コモドアZB/Brad Jones Racing)が第2戦に続いて連勝を飾り、最終レース3はジャック・ルブローク(フォード・マスタング/Tickford Racing)が勝ち、記念すべきシリーズ初優勝を飾っている。

 現在も進行中の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の余波で、本来は南部ビクトリア州のウイントン・モーターレースウェイを舞台に開催されるはずだった2020年改訂版カレンダー第3戦は、その後さらなる修正を強いられ、最終的にウイントン戦はキャンセルに。

 これを受け、スーパーカー・シリーズは急遽チャンピオンシップ再開戦となったシドニーを第3戦の代替地に決め、シリーズ初の同一サーキット連続開催を決断すると同時に、ナイトレースを含む“スプリット・デイ&ナイト・フォーマット”の採用をアナウンスしていた。

 しかし、7月に入ってから全豪各地で感染再発と拡大が収まらず、第2週にはビクトリア州政府と北部クイーンズランド州政府による新たな『州境封鎖措置』が採られ、ともに隣接する中部ニューサウスウェールズ州(NSW)との往来が完全に遮断されることに。

 この決定により、ビクトリア州を拠点とする多くの参戦チームは急遽パッキングを進め、ロックダウンを回避するため深夜にシドニーへの大移動を決行。2週間もの間、NSW州内各地で臨時の拠点を設けて第3戦の週末を待つ格好となっていた。

 そんな異例ずくめの状況で初戦ナイトレースに向けた予選を制したのは、ダブルチャンピオンの威厳を見せたマクラフランで、通常予選セッションでは硬めのタイヤを選択し11番手でトップ15シュートアウトに進むと、ソフトに履き替えて自身の持つレコードタイムをブレイクするアタックでポールポジションを奪取。

 2番手の宿敵“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアZB/Triple Eight Race Engineering)や、フォード陣営の3番手キャメロン・ウォーターズ(フォード・マスタング/Tickford Racing)、そして7冠王者のジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB/Triple Eight Race Engineering)らを従え、最前列から夜間の勝負に挑むこととなった。

 そのナイトレースは、夜の気温に合わせたタイヤチョイスの戦略が勝負の分かれ目となり、スタートからハードコンパウンドを選択したチャンピオンは、1コーナーでフロントロウに並ぶSVGに先行を許すと、同じマスタングに乗る3番手ウォーターズや5番グリッド発進のリー・ホールズワース(フォード・マスタング/Tickford Racing)、さらにVASCのeスポーツ選手権で大活躍を演じたアントン・デ・パスカーレ(ホールデン・コモドアZB/Erebus Motorsport)にも先行を許す苦しい展開となる。

R1はほとんどリードラップを記録しなかったものの、戦略勝ちのスコット・マクラフランが今季4勝目をマークした
R2は3番グリッドからスタートした伏兵ニック・パーカットが、DJR勢を抑えてシドニー連勝を飾っている
R2でファイナルラップまで表彰台争いを展開したジェームス・コートニー(左)は、マクラフランに惜しくも鼻差の4位

■レース3の表彰台はフレッシュな顔ぶれが並ぶ

 アンダーカットを模索したマクラフランは、11周目に先頭集団で最初にピットへ向かうと、温存しておいた新品ソフトのセットを投入。その後のラップでハードに履き替えてコースに復帰してきたパスカーレやホールズワースら先行ライバルたちを次々と捉え、コールドタイヤでウォームアップに苦しむマシンを尻目に、上位進出を果たしていく。

 最後に立ちはだかったレッドブル・レーシング・オーストラリアの首位SVGは、20周目にハードタイヤにチェンジ。しかしこのピット作業であろうことかエラーが発生し、タイムとポジションを失って僚友ウインカップの背後5番手でのトラック復帰となってしまう。

 これで楽になったマクラフランは、2番手ホールズワースの挑戦も退け今季4勝目をマーク。3位にパスカーレが入り、今季初表彰台を獲得する結果となった。

 こうしたタイヤ戦略の重要性は続く日曜のデイライト戦でも続き、レース2もフロントロウからソフトタイヤで発進したSVGは、ハードに履き替えた終盤以降にタイムを失い8位フィニッシュがやっと。

 そのレースで輝きを見せたのは、3番グリッドからスタートした伏兵パーカットで、6月末のここシドニーでもレース2を制した男は、ソフトからソフトに繋ぐ作戦でレースペースを維持し、DJR Team Penskeのファビアン・クルサードと王者マクラフランを従え今季2勝目。VASCキャリア通算4勝目を飾って好調さをアピールした。

 そして最終のレース3は、3番手スタートながら中古ソフトのみで苦戦したマクラフランとは対照的に、序盤に自身初ポールからレースを支配したアンドレ・ハイムガートナー(フォード・マスタング/Kelly Racing)との勝負に競り勝ったルブロークが、シリーズ初優勝を飾ると同時にマスタングのワン・ツーに貢献。3位トッド・ヘイゼルウッド(ホールデン・コモドアZB/Brad Jones Racing)まで全員がシリーズ自己最上位というフレッシュな表彰台の顔ぶれとなった。

 続く第4戦は8月8~9日の名物イベント『ダーウィン・トリプルクラウン』が予定されているが、スーパーカー・シリーズはシドニーの週末に新たな日程を発表し、その翌週にも同じくダーウィンでのスーパースプリント戦を追加し、これを第5戦とすることを決めている。

マスタング同士の勝負となったR3はジャック・ルブロークが制し、VASC初優勝を達成した
R3は自身初のポールポジションからレースを支配したアンドレ・ハイムガートナーだったが、惜しくも2位
ジェイミー・ウインカップ、SVGのふたりにとっては、珍しく表彰台獲得を逃すイベントに