角田裕毅インタビュー:「エンジニアに感謝です」今季2度目の表彰台。無線やり取りの変化が最大の要因に

 開幕戦からトップに伍する速さを披露しながらも、それがなかなか結果に繋がらなかった角田裕毅(カーリン)。第4戦となる今回もフリー走行でトップタイムを出したにもかかわらず、予選は本人のミスもあって9番グリッドが精いっぱいだった。

 しかしレース1では素晴らしいスタートを決め、その後はタイヤをいたわりながら着実に順位を上げて行った。そして終盤5周で次々に3台を抜いて、今季2度目の表彰台をもぎ取った。

──────────

──3位表彰台、おめでとうございます。

角田裕毅(以下、角田):ありがとうございます。スタートがうまく決まって2台ほど抜けて、その後もペースは悪くなかったのですが、ハードタイヤを履くジャック・エイトケン(カンポス・レーシング)をなかなか抜けず、そこでちょっと足踏みしてしまいました。

 そのままの順位でピットインしてミディアムからハードに交換した直後に、「ほとんどのクルマがハードの性能劣化に苦労してる」と(チームが)言ってきたんです。それで前半は抑え気味に走って、勝負をかける後半に備えました。それがすごくうまくいって、3位表彰台を勝ち獲ることができました。

──終盤次々にミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)やクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)を抜いて行ったのは素晴らしかったですが、あの段階でもタイヤはまだ十分グリップを残していたのですか?

角田:抜いていったクルマに比べると、タイヤは残っていた方だと思いますけど、でも最後の5周はかなりプッシュしていたのでけっこう苦しかったですね。

──角田選手のとったミディアムスタート戦略は、結果的に正解だった?

角田:いやあ、どうでしょう。僕のグリッドだったら、(8番グリッドから2位表彰台に上がった)周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)選手のようにハードスタートの方が良かったかもしれません。あるいはもう1周早く、ピットに入っていたか。今回は戦略による大きな違いは、それほどなかったようですね。

──9番グリッドから表彰台を獲得できた、一番の要因は何だと思いますか。スタートもよかったし、その後のタイヤマネージメントも大きな要因だと思いますが。

角田:間違いなく、ハードタイヤに換えたあとにエンジニアが教えてくれた情報と指示でしょうね。しばらくは「抑えて走れ」と言われて、それが間違いなく、終盤に効きましたから。エンジニアに、本当に感謝です。

FIA-F2第4戦イギリス レース1 角田裕毅(カーリン)

──レース後会見でも言っていましたが、今回から意識してエンジニアと無線のやり取りをするようになったんですね。

角田:はい。ハンガリーまでは、「無線いらないかも」っていうぐらい話してなかったんですね。使うのはせいぜい、ピットストップの前ぐらいで。それ以外は、まったく話してませんでした。

 それじゃよくないとハンガリーで思い知ったので、もうちょっと情報を増やして行こうと。それが今回、いきなり結果に繋がりました。

──そういうやり取りを増やしたことで、レースの全体像を見通せるようになった?

角田:それは、ありますね。レースペースをどう組み立てるかとか、そういう経験もできましたし。

──今回は後ろから追い上げて行って、激しいバトルもあったけど、ハンガリーのようにまた接触してフロントウイングを壊すのではないかという心配はなかったですか?

角田:何回か、フロントウイングを壊しかける状況はありました。相手はタイヤが垂れてて、コーナーのスピード差が大きくて、それでぶつかりそうになったり。

──明日のレース2に向けてはいかがでしょうか。

角田:さらに気温が下がるので、タイヤ管理がいっそう難しくなりそうです。でもいいレースをして、連続表彰台を目指して戦います。

──ハンガリーで結果を出せなくて、今回も予選で結果を出せないという悪い流れでした。その状況を跳ね返しての3位表彰台は、今後の戦いを見据える中でも価値ある結果でした?

角田:間違いなく、そう思います。正直3位は予想できていなくて、当初の目標は8位以内に入ってレース2でリバースグリッドから上位入賞を狙うというものでした。決して簡単なレースではなかったですけど、この結果は本当に大きいです。

FIA-F2第4戦イギリス レース1 表彰台に上がったニキータ・マゼピン(ハイテックGP)、周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)、角田裕毅(カーリン)

© 株式会社三栄