被爆も枯れ葉剤も同じ「犠牲者」 パン監督インタビュー

「原爆や虐殺について考えるきっかけになれば」と語るパン氏(写真は一部加工)

 リティ・パン氏に、「Irradiated」に込めた思いなどを聞いた。

 -原爆投下やベトナム戦争での枯れ葉剤散布などを同時に扱ったのはなぜか。
 被爆者も、枯れ葉剤の被害者も、虐殺の「犠牲者」という点で同じだからだ。直接会った被爆者からは「私はじきに死んでしまうが、原爆を知らない若者のために、何が起きたか伝えてほしい」と言われ、大きな責任を感じた。

 -作品に込めた思いは。
 今も世界ではたくさんの戦争が起き、多くの命が奪われている。このままでは、人類はいつの日か再び全てを破壊するだろう。作品を通して原爆や虐殺について自分ならどう思うか考えてほしい。

 -核兵器がなくならない現状をどう思うか。
 非常に複雑な問題だ。一つ言えるのは、私たちは対話を通して理解し合わなければいけないということ。北朝鮮のミサイル問題や中国と台湾の問題なども、その地域だけの問題と捉えるのではなく、全ての人々が考えるべきだと感じている。

 -長崎の印象について。
 虐殺を経験したという点が故郷のカンボジアと共通している。長崎には戦争遺構が多く、歴史を学びやすい。多くの人が長崎で見て学ぶ必要があると思う。

 -長崎の市民へ伝えたいことは。
 弱い立場の人たちの声に耳を傾け、手を差し伸べてほしい。そして、平和のことを考え続けてほしい。

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