盆休み控え苦渋の選択 飲食店、相次ぐ自主休業 諫早

 「お客さまと従業員を守るため、一時的に閉めるしかない」-。複数の新型コロナウイルス感染者が利用していた長崎県諫早市永昌東町のスナック周辺の飲食店が、自主休業に追い込まれている。無関係の店舗への風評被害が相次ぎ、今週末の3連休や盆休みの大量移動に伴う感染リスクを自ら回避する状況に陥っている。
 県が2日、スナック名を公表した後、近隣の飲食店街で臨時休業を伝える貼り紙が増え始めた。期間は1週間前後から無期限。「公表された店舗以外の店も感染者が利用したかも」。そんな風評が流れたからだ。
 公表された店が感染源と断定されたわけではないが、近くで接客業を営む女性は営業継続への批判と感染拡大を食い止めるため、自主休業した。「お客さまから『まだ開けているの』と言われ、従業員も『仕事に行って大丈夫か』と心配される」。盆休み前後の人の移動を見越し、「店を閉めるのが一番の感染防止」。
 緊急事態宣言の解除後、飲食店でつくる県社交飲食業生活衛生同業組合諫早支部は感染予防に関する研修会を実施。入店者の手指消毒や検温、連絡先の記録を徹底し、従業員はフェースシールドを着用。細心の注意を払ってきただけに今回の事態への落胆は大きい。
 同支部と諫早駅前地区ビルオーナー会は6日、自主休業した飲食店への経済支援を市と市議会に要請。「一日一日に生活がかかっている。このままでは町の明かりが消えてしまう」。自主休業という“苦渋の決断”への早期支援を求めている。

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