「世界平和」 筆に込める 長崎西高書道部

式典会場に掲げられた長崎西高書道部の作品=平和公園

 今年の平和祈念式典会場には、県立長崎西高書道部の部員らが「世界平和」と大きく筆を走らせた作品(縦3.5メートル、横7.8メートル)が掲げられるなど、新たな“装い”で被爆75年の節目を迎えた。
 作品はピカソの反戦壁画「ゲルニカ」にならった市民団体のプロジェクト「キッズゲルニカ」の一環として、部員14人が平和への願いを込め、アクリル絵の具で完成させた。「世界平和」を意味する30カ国語を鮮やかな色で配置。同校敷地には被爆時、旧制県立瓊浦中があり、生徒約400人が犠牲になった。2年生で部長の荒川菜々美さん(16)は「平和な日常の大切さを感じてほしい」と話した。
 平和祈念像の下に飾られる生け花パネルのデザインも25年ぶりにリニューアル。市立長崎商業高2年の吉田陽向さん(17)がデザインし、2本の黄色い線で平和を願う被爆者と思いを受け継ぐ若い世代を表現した。未来に向かって羽ばたく白いハトも描かれ、会場を訪れた市内の被爆者、中村ヒロ子さん(79)は「若い人が平和の思いを受け継いでくれた」と喜んだ。
 会場では、1946~49年に占領軍長崎軍政部司令官を務め、長崎の戦後復興に尽力したビクター・デルノア氏(故人)の写真展も開催された。


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