2020年7月の全国企業倒産789件

2020年6月の倒産

倒産件数が今年最多の789件 「新型コロナウイルス」関連倒産は89件

 2020年7月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が789件(前年同月比1.6%減)、負債総額は1,008億2,100万円(同7.9%増)だった。7月としては、1991年以降の30年間で2015年の787件に次ぐ、5番目の低水準。
 件数は、5月は新型コロナウイルス感染拡大に伴う裁判所の一部業務縮小に加え、政府や金融機関の資金繰り支援策で56年ぶりの低水準を記録した。その後、国・自治体の金融支援も徐々に行き渡り、7月は2カ月ぶりに前年同月を下回った。ただ、6月から2カ月連続で今年最多を更新し、倒産は底打ちの兆しも出ている。
 「新型コロナウイルス」関連倒産は、7月は89件(2月以降、累計329件)発生した。
 負債総額は、2カ月連続で前年同月を上回った。負債100億円超はなかったが、同10億円以上が24件(同13件)と大幅に増え、小・零細企業から中堅企業にも広がっている。

企業倒産月次推移
  • 「人手不足」関連倒産31件(前年同月38件)。うち、「後継者難」が26件(同26件)
  • 形態別件数:破産が716件。法的倒産の構成比97.4%で、過去最高を更新
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが17府県、減少21都道県、同数9県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比が78.4%で、過去最高を記録
  • 業種別件数:金属製品製造業、機械器具卸・小売業、飲食業で倒産が増加
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比は今年最高の88.9%
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は789件で、構成比100.0%

産業別 最多はサービス業他、10産業のうち5産業で前年同月を上回る

 2020年7月の産業別件数は、10産業のうち、5産業で前年同月を上回った。
 最多は、インバウンド需要の消失、外出自粛など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた飲食業を含むサービス業他が283件(前年同月比16.9%増)で、2カ月連続で前年同月を上回り、今年最多を更新。
 そのほか、農・林・漁・鉱業16件(同10.0%増)で3カ月連続、卸売業109件(同2.8%増)と金融・保険業4件(同33.3%増)が2カ月連続、運輸業32件(同77.7%増)が3カ月ぶりに、それぞれ増加した。
 一方、販売不振が続くアパレル関連などが注目されている小売業は114件(同12.9%減)は、3カ月連続で減少。そのほか、建設業104件(同27.2%減)が4カ月連続、情報通信業30件(同11.7%減)が3カ月連続、不動産23件(同20.6%減)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

2020年7月の産業別倒産
産業別倒産月次推移

地区別 全6地区で前年同月を下回る

 2020年6月の地区別件数は、9地区のうち、6地区が前年同月を下回った。
 北海道12件(前年同月20.0%減)と四国14件(同12.5%減)が3カ月連続で前年同月を下回った。また、東北26件(同46.9%減)と中部112件(同2.6%減)、北陸(同8.6%減)、九州50件(同27.5%減)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
 一方、近畿213件(同17.0%増)が2カ月連続、中国38件(同15.1%増)が3カ月ぶり、関東303件(同1.0%増)が4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 増加率が高い近畿は、2カ月連続で件数が200件を超えた。

2020年7月の都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

(株)イワヰ/愛知県/自動車部品ほかプレス加工/47億8,300万円/民事再生法 (株)AIKジャパンコーポレーション/東京都/飲食店向け什器販売ほか/47億円/破産 (株)豊田/東京都/すし店経営ほか/30億600万円/破産 筑後商事(株)/福岡県/スーパー経営/26億円/特別清算 (株)ウィンコーポレーション/東京都/食品流通事業ほか/25億1,600万円/破産

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