【今週の気になるニュース】万が一の事態に備えるF1チーム。それぞれのリザーブドライバー事情

 F1第4戦イギリスGPとF1第5戦70周年記念グランプリでは、セルジオ・ペレスに新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出たため、レーシングポイントは急きょニコ・ヒュルケンベルグを代役として起用した。

 しかし、これはレーシングポイントに起きた偶然の話ではない。今週末グランプリが行われるスペインは、6月にロックダウンを緩和して以降、再び感染者が増加し始め、8月5日にはロックダウン後、最多となる1772人の新規感染者が出たばかり。なお、日本の8月12日の新規感染者は979人だった。

 こうした状況を受け、イギリスは入国の際に自己隔離の義務を免除するリスト国からスペインを除外。7月25日以降、スペインからのすべての入国者に対し、14日間の自己隔離を義務付けることを発表している。

 現段階でイギリスに自宅を置くF1ドライバーやファクトリーを構えるチームスタッフが帰国の際にどのような扱いを受けるのかという情報は入ってきていないが、感染のリスクが高い国でF1が行われることには変わりない。つまり、新たな感染者がドライバーから発生しても不思議ではない。

 そうなると必要となるのがリザーブドライバーだ。そこで『今週の気になるニュース』は、リザーブドライバーに関する最近のニュースだ。

 まずメルセデスに関しては、8月7日付けのメルセデスF1、リザーブドライバー不在で第5戦に臨む。新規則でスーパーライセンスが発行されずというニュースで伝えられているように、リザーブドライバーとして契約しているエステバン・グティエレスがスーパーライセンスを所持していないため、代役として出場することはしばらくできないが、ストフェル・バンドーンについてはイギリスの連戦とフォーミュラEと日程が重なっていたが、フォーミュラEは8月13日に閉幕するため、物理的には14日から始まるスペインGPに出場することは可能だ。

 レッドブル・ホンダとアルファタウリはこれまで務めていたセバスチャン・ブエミとともに、今年3月にセッテ・カマラとも新たに契約したことを発表していた。フェラーリはアルファロメオのドライバーであるアントニオ・ジョビナッツィをリザーブとして登録。そのアルファロメオは70周年記念GPの金曜日にステアリングを握ったロバート・クビカをリザーブとして登録した。

 マクラーレンは、2021年からパワーユニットを供給されることになっているメルセデスと、今年からリザーブドライバーを共有しているが、冒頭のようにグティエレスに関してはスーパーライセンスの問題があることから、70周年記念GPについてはディ・レスタとリザーブ契約を結んていた(2020年8月6日付け『マクラーレンF1、70周年記念GPのリザーブドライバーにディ・レスタを起用

 ルノーは2017年と2019年に同チームのリザーブドライバーを務めたセルゲイ・シロトキンとの契約を、2020年シーズンに向けて延長したことを発表している(2020年7月1日付け『ルノーF1、2020年のリザーブドライバーにシロトキンを起用。レギュラードライバー欠場の緊急事態に備える)。

 ウイリアムズは、そのルノーを今年の2月に離脱したジャック・エイトケンとリザーブドライバー契約を締結。第2戦シュタイアーマルクGPの金曜フリー走行1回目に起用していた。

 またハースは、今年の3月26日にチームの公式テストおよびリザーブドライバーとして、ピエトロ・フィッティパルディとルイ・デレトラズを起用することを発表している(2020年3月27日付けハースF1のテスト&リザーブドライバーにフィッティパルディとデレトラズが就任。公式バーチャルGPにも参戦へ)。

 感染がこれ以上、拡大しないことを祈りつつも、万が一に備えて各チームとも万全の体制をとっている。

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