不動産投資家が実践、「家賃100倍の法則」「ファミリータイプ大化け戦法」とは

26歳で不動産投資を始め、2年間で資産5,000万円、今は5億円に積み上げた束田光陽さん。無我夢中でやった初期の不動産投資が「自分のスタイルになった」と言います。そのスタイルは「ファミリータイプ大化け戦法」「家賃100倍の法則」など、ユニークなものばかり。前回に続き、束田さんの投資の足跡と合わせて聞きました。


不動産投資で味わえる「醍醐味」とは

――前回、自宅に続いて購入した物件で「多くの学びがあった」と伺いました。それ以降は、どんな投資をしていったのでしょうか。

前回話した成功体験が、自分のスタイルになりました。まず狙う物件は、築年数の古い、いわゆる“ボロ物件”。値切れる分、仕入れが安くなります。さらにリフォームも、テクニック(前回記事参照)を使って半値以下に収める。すると、家賃の利回りは高くなり、それだけで投資資金を回収できます。さらに、売却額も仕入れ値より高くなりやすいので、家賃と売却で利益を両取りできます。これが、不動産投資ならではの醍醐味です。

――「不動産投資ならでは」という点について、もう少し詳しく聞かせてください。

たとえば株式投資だと、いくら業績が下がっている企業でも、一般の個人投資家が上場企業の株を半値で買うことは不可能ですよね。出来るとすれば、ファンドや機関投資家が事業再生を行うくらいです。それと同じことを、不動産投資は個人でできてしまう。それが「不動産投資ならでは」という意味です。

――なるほど。ちなみに、その後はどんな物件に投資したのでしょうか。

3軒目も思い出深いですね。ボロボロの中古物件が480万円で売り出されており、400万まで値切って購入。リフォームもあわせると、初期費用は総額500万円ほどでした。家賃7~8万円で運用できたので、利回りは20%弱。最後は560万円で売却できました。

当時の物件

家賃収入と売却益の両取りができても「失敗」だった理由

――まさに「両取り」ですね。

ただ、560万円で売ったのは大きな「失敗」でした。

――どうしてですか。

僕が購入したのは5階の部屋で、建物の1階は事務所として使われていたのです。ただ、その事務所が怪しい雰囲気で……

――怪しい雰囲気、とは……

家の前には黒塗りの外国車が止まっているのですが、窓はみな黒いフィルムがびっしり貼られていたり。夜になるとたくさんの女性が事務所に入ってきて、朝にはまた出て行ったり。さらに、いつの間にかドーベルマンや土佐犬が飼われ始めて、門番のように玄関前にいたり……。いろいろなリスクを感じて、急いで売ったのです。

――それが560万円だったわけですね。

はい。ただ、この建物は良い意味で化けました。売却後、1階は事務所からチェーンの学習塾に変わり、建物も綺麗に。今、同じ間取り(45平米)の部屋の価格を見たら、1,490万円です。自分が得られたかもしれない利益、「逸失利益」を考えたら大失敗ですよね(笑)

――とはいえ、1階の状況から仕方なかった気もしますが。

僕が持っていたのは5階であり、冷静に見れば余り影響がありません。当時の自分が臆病だったと思います(笑)。とはいえ、この物件の経験は僕にさらなる必勝法を授けてくれました。それが「ファミリータイプ大化け戦法」です。

「家賃100倍の法則」で見ると、東京・神奈川は物件が高い

――名前を聞いただけで気になります(笑)

45平米以上のファミリータイプの物件が“化ける”ということです。ただし、都心から30分圏内のエリアに限ります。なぜなら、このエリアはサラリーマンがマイホームを探すエリアだからです。

マイホームを買う際、多くの人は35年ローンを組みますよね。今は1%以下の低金利で、かつ(条件をクリアすれば)住宅ローン減税が適用されます。つまり、ほぼ金利なしでローンを組める。すると、3,000万円ほどの物件でも、35年ローンなら月7~8万円の返済で済みます。決して高くないですよね。つまり、価格は3,000万円ですが、月の返済額にすると安く見える。結果、ローンで買うファミリータイプの物件は値段が上がりやすいんです。

――それが大化け戦法だと。

はい。住宅ローンを組む人は、月の返済額を基準に物件が高いか安いかを見ます。でも僕たち不動産投資家は、投資物件としての総額を見ている。そのギャップが重要なんですね。

――なるほど。

さらにこれ以降は、物件のエリアも変えました。これまで神奈川ばかりで購入していましたが、次第に埼玉や千葉に移っていったんです。実はこれも、不動産投資のセオリーに近く、多くの人はまず東京や神奈川など、人気の地域で物件を探します。少子高齢化の時代において、安定しているのは東京だと。ただ、東京は物件価格が高くて、利回りが出にくい。神奈川も、東京よりは安いものの、やはり満足のいく利回りは出にくいです。

図面での解説

――確かに、最初は東京や神奈川を狙ってしまいそうです。

僕は、1,000万円の物件なら月10万円の家賃を、2,000万円の物件なら月20万円の家賃を、3,000万円なら家賃30万円を取るべきだと思っています。これを「家賃100倍の法則」または「価格100分の1の法則」と呼んでいるのですが(笑)。1,000万円の物件を見たら、家賃を10万円取れるか想像する。逆に、家賃10万円になりそうな物件を1,000万円まで値切って購入できるか考える。

その視点で見ると、東京や神奈川の物件は価格が割高なのです。そもそも物件価格と家賃の性質を比べると、物件価格はどんどん上がるのに対し、家賃はあるラインで頭打ちになり始めます。つまり、価格が3,000万円、4,000万円と上がっても、家賃は30万円、40万円と上がりにくい。たとえば六本木ヒルズで45平米の部屋があったら、1億円ほどの価格になるでしょう。でも家賃100万円は取りにくいのです。せいぜい50万円程度。

――なるほど、価格の上昇に対し、家賃は頭打ちになると。

はい。ですので、家賃100倍の法則を基準にすると、東京や神奈川は物件価格が割高なのですね。このことから、埼玉、千葉で物件を購入していったのです。

束田さんのさらなる不動産投資の足跡、そして必勝法は次回に続きます。


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