「患者の心 支えたい」 女性や家族対象 終末期カウンセリング 看護師歴30年 佐世保の川口さん

「何か不安、つらい、そう感じたときに相談してもらえる存在になりたい」と語る川口さん=佐世保市、カウンセリングステーションこころね

 佐世保市の川口典子さん(52)が、がんなどで終末期を迎えた女性やその家族などを対象にした「カウンセリングステーションこころね」を、同市松浦町と北松佐々町で開業した。30年の看護師経験を生かし、当事者の「心を支えたい」としている。

 川口さんは同市出身。同市内の看護専門学校を卒業後、同市立総合病院(現在の同市総合医療センター)に就職し、外科、脳外科、内科などで看護師を30年務めた。日常的に患者の死に接する中で、当事者やその家族の心の揺れを肌で感じてきた。それが死への恐怖なのか、それとも後悔に由来するものなのか、うまく見極められずにいた。
 2014年、仕事をしながら通信教育で武蔵野大(東京)に3年次編入し、心理学の勉強を始めた。卒業後、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントなどの資格を取得。専門的な知識を深める中で、死を前にした患者や家族の「心の揺れ」はさまざまだが、もっと十分な心の支えが必要なのではないか-と考えるようになった。
 終末期を迎えた患者に少しでも長く関わる時間を取るため、19年3月、病院を早期退職し今年4月、佐世保市と佐々町にそれぞれ事業所を開設。妻、母親としての自身の経験を生かすため、対象は女性に限定した。看護師歴が長く、患者の病状に応じた適切な心のケアを施せるのが特徴だ。
 川口さんは「死に方に“正解”はないけれども、当事者が迎えたい最期に少しでも近づけるよう心をサポートしたい。早めに、気軽に利用してほしい。その方が心がほぐれるのも早くなると思う」と柔らかな表情で話した。
 電話かホームページで予約する。カウンセリングは1回50分5千円。訪問カウンセリングは交通費込みで1回50分6千円(定期あり)、オンラインカウンセリングは1回30分3千円。仕事や子育て、介護の悩みなども受け付ける。女性限定だが、男性家族などの相談は可能。問い合わせは同事業所(電0956.62.2252)。

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