五島市長選 一騎打ちの両候補者に聞く

野口市太郎氏(右)、中西大輔氏

 23日に告示された五島市長選は、3期目を目指す現職の野口市太郎氏(64)と、新人でマリンスポーツ体験事業などを営む中西大輔氏(31)=いずれも無所属=が立候補し、一騎打ちとなった。新型コロナウイルス禍で地域経済が疲弊する中、人口減少や高齢化、過疎などの諸課題にどう取り組むのか。両候補者に聞いた。
=届け出順=

■質問 
(1)立候補の動機
(2)五島市の課題
(3)重点施策
(4)選挙の争点
(5)自己PR、目指す市長像など

■野口市太郎(のぐち・いちたろう)氏(64) (無所属・現) 2期8年の経験を生かす

 (1)人口減対策や観光分野で成果が出始め、より高い目標を持っていた中でのコロナ禍。来年以降の地方財政はかなり厳しく、難しいかじ取りが要求される。市長2期8年や(県職員として)地方行政に携わった経験を生かし、自分の責任でしっかり取り組みたい。
 (2)最重要課題は人口減少問題。人口流出に歯止めをかけ、昨年は「社会増」を達成したが、(死亡数が出生数を上回る)「自然減」対策に手を付けなければ。観光や農林水産業を一刻も早く「コロナ前」に戻すことも大きな課題となる。
 (3)古里五島をコロナから守る。経済的ダメージを受けた観光や1次産業の将来を見据え、事業や雇用を維持する。従来の雇用拡充や移住定住促進を継続し、人口減から五島を守る。自然減対策で独身男女の出会い、出産、子育て支援拡充を考える。医療や介護体制、(国が再編・統合の議論が必要とする)富江病院も守る。新図書館建設など教育環境整備も進める。
 (4)今までの市政を継続するのか、変えるのか。人口流出に歯止めがかかったのはいいが、市民の暮らしが良くなった実感がない、との意見をよく聞く。だが人口が減ると、交通や行政のサービスは縮小していく。今のサービスを維持するのも、市民への大きな還元だと考えている。
 (5)趣味のランニングはお休み中で、今はウオーキング。本も雑多に読み、ファンタジー系や歴史が好き。市民の皆さんと気軽に話ができる市長でありたい。

■中西大輔(なかにし・だいすけ)氏(31) (無所属・新) 大型事業やめコロナ対応

 (1)3年半前に移住し、五島は良い場所だが「もったいない」と思うことも。例えば行政のIT化は遅れている。コロナ禍では、観光など島外からの“外貨”に頼る危うさが表面化し、島内で生産と消費を循環させる仕組みも必要。良い意味で島を変えられるのは外の視点だと考え、挑戦する。
 (2)コロナ対応では、市内初の感染者が出た際、市の情報発信が遅く、デマや不安を招いた。市民の困り事を聞き、情報を集める姿勢も足りない。医療や経済対策強化も必要で、今まで通り図書館建設や庁舎建て替えなどの大型公共事業を進めている場合ではない。医療体制の充実や、二次離島などの交通弱者支援も課題で、もともと島にあった問題がコロナで顕在化した。
 (3)大型事業を中止や延期とし、お金をコロナ検査体制の拡充などの水際対策強化、医療・介護従事者への支援に回す。全市民に市内で使える1万円分の商品券を配る。多様な市民の声を聞く政治に取り組む。具体的には、市職員の中に、地域を回って地道に意見を聞く担当者を配置する。
 (4)今まで通りに大型事業を推進するのか、やめてコロナ対策に全力投球するのか。コロナ対応は市民の一番の関心事。本当に必要な事業に税金を使うべきだ。
 (5)スポーツマンで、フルマラソンは五島つばきマラソンの3回を含めて5回完走。性格はポジティブ。困り事を聞いたら「検討」や「持ち帰り」をせず、即行動するフットワークの軽い市長になりたい。


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