台風9号 長崎県内 最大13万5610戸停電 7人けが、住家2棟全壊

台風9号の影響で住居が倒壊し、道路をふさいだ。住んでいた男性は事前に避難していて無事だった=3日午前8時9分、五島市堤町

 大型で非常に強い台風9号は、2日夜から3日未明にかけて長崎県内のほぼ全域を暴風域に巻き込みながら通過した。接近した五島や対馬など離島を中心に被害が発生し、県内で7人が軽傷を負った。住家被害は全壊2件、半壊1件など計5件。県内で一時、最大約13万5610戸が停電し、各地で断水した。
 県災害警戒本部が3日午後1時現在でまとめた被害状況によると、新上五島町では強風で飛ばされた屋根が民家の2階に突っ込み、30代女性と2歳女児の親子が窓ガラスの破片などを受けてけがをした。五島市では屋外にいた50代男性が強風にあおられて転倒するなど、県内で7人が軽傷を負った。また各自治体が設置した計247カ所の避難所に一時最大で1289世帯1670人が避難した。
 港湾関係施設の被害は18件。長崎市の高島港ターミナルの桟橋が一部破損した。佐世保市の宇久平漁港でも浮桟橋が外れ、当面高速船が入港できない状況になっている。
 九州電力送配電によると、3日午前1時現在、県内19市町の約13万5610戸が停電した。自治体別の停電率は平戸市73.8%、西海市71%、五島市66.6%。午後10時現在、県内約9750戸で停電が続いた。
 停電に伴い、佐世保市の大野、柚木両支所が本庁舎と結ぶネットワークが不通になり、住民票の発行などができなくなった。西海市ではインターネット回線を使ったIP電話が不通になったり、市内4カ所の総合支所で住民票の交付ができなくなったりした。また各地で断水が発生し、最大で五島市約4800戸、西海市約7200戸に上った。
 長崎地方気象台によると、3日の最大瞬間風速は対馬市厳原で46.2メートルを観測。また同市鰐浦(44.8メートル)、壱岐市石田(40.1メートル)はそれぞれの地点の観測史上最大を記録した。空や海の便など交通も乱れた。


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