長崎県庁跡地石垣遺構 最下部は江戸初期築造

江戸期以降の埋蔵文化財の調査が進む長崎市江戸町の県庁跡地で、県教委は4日、敷地南東側で約70年ぶりに出土した長さ約60メートルに及ぶ大規模な石垣遺構を、長崎新聞社の取材に対し公開した

 県教委は4日、長崎県庁跡地(長崎市江戸町)の敷地南東側で新たに出土した高さ6~7メートル、長さ約60メートルの石垣遺構を、長崎新聞社の取材に対し公開した。石垣の最下部は江戸時代初期の築造とみられるという。
 同遺構は、明治期末に完成した3代目県庁舎が1945年の長崎原爆で焼失した後、4代目庁舎(53年完成)の建設に伴う敷地拡張のため全体が埋め立てられていたが、約70年ぶりに全容を現した。
 同跡地は、江戸期の禁教令前まで国内キリスト教の重要拠点「岬の教会」があり、その後は江戸幕府の長崎奉行所などが置かれた。当時は岬突端の高台に位置し、海に面した周囲が高い石垣で囲われていた。現存する石垣の位置は、江戸期からほぼ変わっていないとみられる。
 今回の発掘部分は、昨年度の調査で石垣の上端部を確認。保存活用を前提に、5月から全体を掘り出す作業に着手、8月下旬に完了した。場所によって積まれた石の形などがばらばらで、県教委学芸文化課によると、江戸期以降も長年にわたり補修しながら使った跡とみられる。
 県教委は周辺の発掘などを今月まで続けた後、保存のため石垣をいったん埋め戻す計画。12日午前10時半~午後2時半、現地説明会を開き、石垣や出土品を一般公開する。

石垣遺構の中央付近。石垣の最下部は江戸初期の築造とみられる=長崎市江戸町

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