鷹の助っ人左腕ムーアが“省エネ”2勝目 好投を支える捕手への厚い信頼感

7回を投げ2勝目を挙げたソフトバンクのマット・ムーア(中央)【写真:藤浦一都】

“日本の野球”を貪欲に吸収「黒星からもたくさんのことを学んだ」

■ソフトバンク 4-2 西武(11日・PayPayドーム)

ソフトバンクのマット・ムーア投手が11日、PayPayドームで行われた西武戦に先発。7回2失点9奪三振の好投で2勝目を挙げた。7回を投げ切ったのは来日初、ちょうど100球という内容だった。

来日初登板で黒星を喫した西武を相手に、しっかりとリベンジしてみせた。4回表にメヒアに2ランを浴びたものの、失点はその2点のみ。4回以外は二塁を踏ませず、山賊打線から9つの三振を奪った。

「前回の黒星からたくさんのことを学んだ。あれから時間が経っているし、あの時以上の良いピッチングをする自信はあったよ。前回はスパンジェンバーグに打たれたけど、今日は最後もしっかりアウトに取ることができた」。メヒアに浴びた一発には「変化球は低めに叩きつけるつもりでいこうとしたが、それが膝の辺りに行ってしまった」と失投を悔しがりつつも「自分が打たれて同点に追いつかれてしまったけど、その後をしっかり抑えることができて良かった」とその後の切り替えを口にした。

故障から復帰して来日初勝利を挙げたのが8月29日の日本ハム戦。その後、中5日で登板したロッテ戦でも好投したが、リリーフ陣がつかまって勝敗はつかなかった。この日は中6日でのマウンド。「その1日の違いは自分の中でも大きかったよ。主に体の回復という面でね。だから今日のような投球ができたと思う」と登板間隔の効果を語った。

女房役の甲斐、高谷に「リードを信頼してやっていく」と厚い信頼関係を築く

工藤公康監督は「研究熱心だし、野球のことをいろいろと考えてやっている。いい1週間の過ごし方をしてくれていると思います」と、ムーアの“学ぶ姿勢”に太鼓判を押す。ムーア自身も「自分としても学ぶことは多い」と、登板するたびに日本の野球の中に新しい発見をし、それを吸収しようと努めている。

「今日の試合にしても2アウト・ランナーなしから源田がセーフティーバントをしてきたことは、自分の中で予想もしてなかった。こういうバントをしてくるということを、今後はしっかり頭に入れながらやっていきたい。(日本の野球は)今までやってきた野球とは違うけど、1つ1つ学びながらアジャストしていきたい」とムーア。

来日初勝利を挙げた際にも「日本の野球を理解しているのは甲斐。だから彼のリードを信頼して投げた」と、バッテリーを組んだ甲斐に感謝。この日もお立ち台で甲斐への感謝を述べるとともに、その後の会見でも「自分には心強いキャッチャーがいる。甲斐にしても高谷にしても信頼できるキャッチャーなので、この2人のリードを信頼しながらやっていきたい」と、捕手陣への厚い信頼を口にする。

前日は雨中の5時間38分の長丁場。一夜明けてチームは仙台から本拠地福岡に移動しての試合となったが、ムーアの小気味いい投球もあって約2時間半で勝利を収めた。「みんな疲れていたと思うので、自分でできる限りのことをしたまで。(西武の先発)ニールもいいピッチングをしていたから、そのおかげもあると思うけどね」と、投げ合った相手の投球を称えることも忘れなかったムーア。心優しい頼れる助っ人が、この先も白星を積み重ねる。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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