“ザ・ファースト・レディ・オブ・ソング”や“ジャズの女王”との異名を持つ、エラ・フィッツジェラルドが、10月2日発売となる完全未公開ライヴ・アルバム『エラ ~ザ・ロスト・ベルリン・テープ』収録曲「恋のチャンス」のミュージック・ビデオ(MV)を公開した。
YouTube:Ella Fitzgerald - Taking A Chance On Love (Live)
MVは、2016年にグラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバムを受賞したジャズ・ヴォーカリスト、セシル・マクロリン・サルヴァントが、プロデュース、ディレクション、そしてアニメーションに至るまで制作のすべてを手掛けている。セシルはビジュアル・アーティストとしても活動しているが、フル尺のMVを制作するのは今回が初めてだという。
MVを担当するに至ったのは、コロナ禍による外出自粛期間中に、エラのライヴ音源が発掘されたというニュースを読んだことがきっかけだと言い、「私はアニメーターではないから、ショートカットとするために必要な知識もほとんどなくて、丸2ヵ月かけてゆっくりと地道に完成まで近づけました。毎日タブレットに絵を描いてビデオを動かし、気が付いたら1000フレームをゆうに超えていましたが、エラも音楽として一緒にいてくれて、絵を描きながら彼女の歌を聴くのが習慣になりました。涙がダンサーに変身している様子を描きましたが、それは、エラを聴いているときの私の気持ちを表しています。」と語っている。
また、セシルはもともとエラの大ファンだといい、エラについて「私が最初にスタンダートの歌い方を習ったのはエラからで、彼女はいつも私の先生です。」と話す。ジャズ界の2人の歌姫が力を合わせた渾身のMVに仕上がっている。
『エラ ~ザ・ロスト・ベルリン・テープ』は、1962年3月25日にベルリンのスポーツ宮殿で録音されたライヴ音源となり、これまでエラのマネージャーを務めていたノーマン・グランツのプライベート・コレクションとして保管されていた。
エラ・フィッツジェラルドとベルリンと言えば、1960年に発表されグラミー賞受賞作品『マック・ザ・ナイフ ~エラ・イン・ベルリン』が有名(1999年には、アメリカのナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンスとグラミー賞の殿堂入りを同時に果たし、音楽史上「最も有名なライヴ盤」と呼ばれるモンスター・アルバム)。
しかし、実はエラはその後も1961年、1962年と立て続けにベルリンを訪れており、音源が確認されていないのは1962年の本アルバムの音源のみであり、『Mack The Knife – Ella In Berlin』と『Ella Returns to Berlin』(1961年録音/1991年発売)に続くベルリン3部作がこれにて完結となる。
■商品情報
エラ・フィッツジェラルド 『エラ ~ザ・ロスト・ベルリン・テープ』
リリース日:2020.10.2
品番:UCCV-1182(SHM-CD)
価格:2,860税込
パーソネル:
エラ・フィッツジェラルド(Vo)、ポール・スミス(P)、ウィルフレッド・ミドルブルックス(B)、スタン・リーヴィー(Ds)
《1962年3月 ベルリン・スポーツ宮殿にて録音。》