「高齢、慢性腎臓病、痛風が新型コロナの死亡リスク」 慶應大の研究グループが論文発表

慶應義塾大学医学部内科学教室と慶應義塾大学関連病院で構成する研究グループは、グループ内の14病院に入院した全患者345例を解析し、重症リスクや死亡リスクなどについて論文発表した。それによると重症化や死亡につながるリスク因子として8つの病態/症状があげられるという。

重症化リスクと死亡リスク、それぞれについて解析

論文を発表したのは、慶應義塾大学医学部内科学教室(呼吸器)の福永興壱教授、石井誠准教授と、同大関連病院14院で患者を診療する医師ら。2020年6月中旬までに、この14院に入院した全患者345例の基礎情報、入院時の症状、併存疾患などを検討して導き出したという。

それによると、345例の年齢中央値は54歳で、併存疾患として高血圧症が90例(26.1%)と最も多く、次に糖尿病(48例[13.9%])、高尿酸血症(28例[8.1%])の割合だった。

酸素吸入が必要となる重症化の危険因子としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の併存症、入院時の症状としての意識障害、息切れ、全身倦怠感、高血圧症の併存症、高齢の順にリスクが高かった。さらに死亡に至る危険因子として、既に報告されている高齢、慢性腎臓病に加え、高尿酸血症(痛風)が関与していることを初めて分かったという。解析では、オッズ比において慢性腎臓病、高齢、高尿酸血症(痛風)の順にリスクが高かった。

今後研究グループでは、第2波の以降の症例も合わせて集積を継続し、臨床基礎情報に加え、採血データ、CT 画像情報、治療内容の検討も行う予定だという。

なおこの論文は国際科学誌『Journal of Infection』オンライン版に、2020年9月10日付で掲載された。

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