酒場からの叩き上げ、NRBQは世界最強のロックンロールバンド! 1978年 NRBQのアルバム「アット・ヤンキー・スタジアム」がリリースされた年

ステイホーム、家呑みのお供になったレコード鑑賞

新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言と東京アラートが発出されていた約2カ月間、皆さんはどうお過ごしでしたか? 私は1週間のテレワークがあったものの、それ以外は通常通り職場での勤務。当然、仕事関係の呑み会もなし、同僚や友人とのプライベートな呑みもなし。自宅と職場の往復の日々が続いた。

仕事から帰宅し、夕食時の晩酌から始まり、その後もダラダラと呑むわけですが、そんな家呑みのお供になったのが “レコード鑑賞”。CDでもサブスクリプションでもなく、アナログレコードに針を落とすわけです。音にこだわる方ではないのだが、アナログレコードを聴きながら呑むお酒は、妙に落ち着いて、コロナ禍のギスギスした疲れを忘れさせてくれて、何だかホッとするのだ。

そんな訳で、私のコロナ禍でのお楽しみ=家呑みレコードの一端を本日は紹介させて頂きます。

フジロックにも登場、世界最強のライブバンド NRBQ!

NRBQは、1969年にデビューしたアメリカのロックンロールバンド。バンド名は「New Rhythm and Blues Quintet」の頭文字から取られている。結成当時は5人組だったが、後にQuartet(4人組)となっている。

NRBQの音楽性はロック、ポップ、ジャズ、ブルース、カントリー等々、アメリカのポピュラー音楽のあらゆる要素と初期ビートルズに代表される60年代のブリティッシュ・ビートが混ざり合ったゴキゲンなロックンロールを聴かせてくれる。痒いところに手が届く、至れり尽くせりのサウンドで、難解なところは一切ないのだが、アメリカでもメジャーブレイクを果たすことができず、知る人ぞ知るバンドと言わざるを得ないまま今日に至っている。

しかし、結成以来、常にライブをやり続けており、世界最強のライブバンドとの呼び声も高い。私もフジロックフェスティバルでライブを体験し、評判どおり最高に楽しいロックンロール・ショーを満喫することができた。

ロックンロールがギッシリ詰まった「アット・ヤンキー・スタジアム」

そんなNRBQの代表作の1つが『アット・ヤンキー・スタジアム』(1978年リリース)だ。アルバムタイトルからライブ盤かと思われるだろうが、れっきとしたスタジオ録音盤で、ジャケットにはニューヨークのヤンキースタジアムの客席にメンバー4人だけがポツンと座っている様子を超引きのアングルで撮影した写真が使われている。アルバムタイトルの謎かけもジャケットが大きいアナログ盤だから確認できる楽しみの1つだ。

1曲目の「グリーン・ライツ」からノリノリのポップなロックンロールナンバーが多く収録されており、バンドの魅力をストレートに伝えてくれる。また、「アイ・ラヴ・ハー、シー・ラヴズ・ミー」はロマンティックなラブソングでNRBQファンの間ではウェディング・ソングとしてよく使われている。途中で入るピアノは何とおもちゃのピアノで演奏されており、さりげない遊び心も魅力的だ。『アット・ヤンキー・スタジアム』は、小粋なロックンロールの楽しさがギッシリ詰まったNRBQの決定盤と言えるアルバムなのだ。

アメリカ随一のバー・バンド! 酔っ払い相手はお手のもの

NRBQを紹介するときに “バー・バンド” という表現がよく使われる。イギリスにおけるパブロックとの厳密な違いが私にはイマイチ分からないのだが、どちらも酒場でのライブ演奏から叩き上げてきたということは共通しているのだろう。NRBQはライブができる酒場を街から街へとサーキットし、酔っ払い相手の演奏でライブの強度とエンターテイメント性を練り上げ、シンプルなロックンロールのスタイルを獲得していったことが想像できる。

『アット・ヤンキー・スタジアム』はデビューから9年目に発表したアルバムで、デビュー以来、全米のバーを隈なく転戦することで培った実力がレコードに思う存分、刻み込まれた1枚となっている。レコードに針を落とすと、聴こえてくるゴキゲンなロックンロールに身を委ねると、気分良く呑めること間違いなしの1枚なのだ。収録曲は13曲(オリジナルリリース時のみ13曲入り、再販以降は12曲入りに変更)で1曲2分半から3分半のコンパクトな楽曲を一気に聴かせてくれる。A面で一杯、B面でもう一杯頂くと、“酔い” 感じになるわけなのだ。

with コロナのライフスタイルにおける “音楽を聴きながら家呑み” という過ごし方は、私のようなロック大好き! お酒大好き! なオジサンにとっては、とても楽しく、同時に憩いの時間となり、生活に彩りを与えてくれた。

NRBQの小粋でポップなロックンロールが満載の『アット・ヤンキー・スタジアム』は、どんなお酒とも相性が良く、美味しく呑めること間違いなしのオススメのアルバムだ。是非とも家呑みのお供に1枚揃えてみてはいかがでしょうか!

カタリベ: 岡田浩史

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