長崎県内公立小中学校の修学旅行 行き先を県内に変更4割 6校が中止、延期や日帰りも

修学旅行の行き先を変更して島原半島を訪れた長崎市立西町小の児童=10日、雲仙市

 新型コロナウイルスの影響で、長崎県内21市町の公立小中学校計488校のうち、約4割の小中学校が修学旅行の行き先を県内に変更し、8月末までに計6校が中止したことが長崎新聞社の調べで分かった。多くの学校が訪問予定地の感染状況を見極めながら、行き先変更や実施時期の延期など検討を重ねている。行き先変更や中止した際のキャンセル料については、12市町が補助する方針を打ち出している。

 調査は9月上旬、全21市町の教育委員会にアンケート用紙を配布したり、聞き取りしたりして実施。各教委が8月末までに把握している範囲で、公立小中学校の修学旅行の延期や中止、行き先変更などを尋ねた。
 修学旅行の中止を決めたのは北松佐々町立佐々中と、南島原市の小学校5校の計6校。佐々中は9月中旬に2泊3日の日程で3年生約130人が大阪方面へ行く予定だった。6月に鹿児島へ行き先を変更したが、7月豪雨で宿泊予定だったホテルが被災。九州内への変更を模索したが、全国的に感染が再燃したことを受けて8月、中止を決定した。
 同校の立山敏雄校長は「コロナ収束の見通しが立たず、地域や保護者からも不安の声が多かった。学校生活の中で大きな思い出となる大切な行事なので行かせてやりたかったが、苦渋の決断」と話した。
 実施予定の学校でも延期や行き先変更など模索は続く。県外だった旅行先を県内へ変更したのは約200校。大村市教委は全15小学校について行き先を県内に変更し、1泊2日の予定を日帰りに短縮。2年生で行く予定だった全6中学校は来年度へ延期した。西彼長与町の3中学校も来年度への延期を決め、五島市と南島原市の各中学校も来年度への延期を検討している。
 長崎市の約20の小学校は県外だった行き先を県内に変更。同市立西町小は熊本方面だった予定を島原半島巡りに変更して実施。島原鉄道の体験プログラムや、雲仙・普賢岳の噴火災害について学んだ。また、対馬市の5小学校は九州内だった行き先を島内に変更。同市教委は「都市部を訪れて学ぶことも多いが、地域の歴史や文化財などを知る機会にしてもらえれば」としている。

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