「東日本大震災」関連倒産(9月度速報値)

 2020年9月の「東日本大震災」関連倒産は2件(速報値:9月30日現在)で、3月以来、6カ月ぶりに前年同月と同数だった。
 なお、2020年度上半期(4-9月)は16件(前年同期比6.6%増、前年同期15件)で、年度上半期として前年を上回るのは、震災発生以来、初めて。
 震災被害から回復してきたところに、「新型コロナウイルス」禍の影響を受けた倒産も発生しており、今後の動向が注目される。

震災1

9月の倒産事例

 (有)石陸運輸(TSR企業コード:142264342、法人番号:3370302000261、石巻市)は、1996年12月設立の運送業者。当初よりキャリアカーによる陸運を主体とし、独自の営業基盤を構築していた。2011年3月に発生した東日本大震災では保有設備などに被害を被り、事業に支障を来していた。以降は経営立て直しを図ったが、2020年に入り新型コロナウイルス感染拡大に伴い受注が低迷していた。先行き業績好転の見通しも立たないため、5月31日付で事業を停止し9月8日、仙台地裁石巻支部より破産開始決定を受けた。負債総額は約4,900万円。

震災2

 累計件数1,967件のうち、都道府県別で最も多かったのは東京の575件。次いで、宮城195件、福島86件、北海道と岩手が各85件、神奈川80件、茨城79件、千葉77件、福岡71件、栃木62件、群馬61件、静岡50件、山形と大阪が各48件、埼玉46件と続く。東北6県の倒産件数は471件(構成比23.9%)だった。
 産業別では、最も多かったのが宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の525件(構成比26.
6%)。次いで、製造業459件(同23.3%)、卸売業358件(同18.2%)、建設業224件(同11.3%)、小売業186件(同9.4%)、運輸業82件、情報通信業65件と続く。
 被害型で分類すると、「間接型」1,733件(構成比88.1%)に対して、「直接型」が234件(同11.8%)だった。

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