2020年8月の全国企業倒産667件

2020年8月の倒産

件数は2カ月連続で減少、「新型コロナ」関連倒産73件

 2020年8月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が667件(前年同月比1.6%減)、負債総額は724億1,600万円(同16.9%減)だった。
 件数が600件台は2月以来、6カ月ぶり。8月としては1991年以降の30年間で2017年の639件に次ぐ、3番目の低水準。新型コロナウイルス感染拡大で、5月は裁判所の一部業務縮小や政府、金融機関の緊急避難的な資金支援効果で、56年ぶりの低水準を記録。その後、遅れていた金融支援策も次第に行き渡り、7月、8月は2カ月連続で前年同月を下回った。
 負債総額は、3カ月ぶりに前年同月を下回った。負債5億円以上10億円未満は20件(同11件)と増加したが、同50億円以上はなく、同10億円以上は13件(前年同月15件)と減少。同1億円未満は520件(構成比77.9%)で、小・零細企業を中心にした推移に変化はない。
 「新型コロナウイルス」関連倒産は、8月は73件(2月以降、累計404件)発生した。

企業倒産月次推移
  • 「人手不足」関連倒産は33件(前年同月34件)。うち、「後継者難」が23件(同19件)
  • 形態別件数:破産が604件。法的倒産の構成比97.0%で、過去3番目の高さ
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが20都府県、減少24道府県、同数3県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比は77.9%、前年同月より2.1ポイント上昇
  • 業種別件数:飲食料品卸売業、飲食業で倒産が増加
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比は今年最高の89.9%
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は666件で、3カ月ぶりに100.0%ではなかった

産業別 最多はサービス業他、10産業のうち6産業で前年同月を下回る

 2020年8月の産業別件数は、10産業のうち、6産業で前年同月を下回った。
 最多は、インバウンド需要の消失、外出自粛など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた飲食業を含むサービス業他が209件(前年同月比14.8%増)で、3カ月連続で前年同月を上回った。
 このほか、卸売業104件(同6.1%増)が3カ月連続、情報通信業32件(同6.6%増)が4カ月ぶり、不動産業27件(同35.0%増)が2カ月ぶりに、それぞれ増加した。
 一方、“巣ごもり需要”効果のあった飲食料品小売業(33→22件)などの小売業が93件(前年同月比26.7%減)で、4カ月連続で減少。建設業109件(同3.5%減)が5カ月連続、製造業73件(同3.9%減)が4カ月連続、農・林・漁・鉱業3件(同40.0%減)が15カ月ぶり、運輸業17件(同32.0%減)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
 金融・保険業は2020年1月以来、7カ月ぶりにゼロだった。

2020年8月の産業別倒産
産業別倒産月次推移

地区別 6地区で前年同月を下回る

 2020年8月の地区別件数は、9地区のうち、6地区で前年同月を下回った。
 北海道11件(前年同月比47.6%減)と四国5件(同44.4%減)が4カ月連続で、前年同月を下回った。また、東北31件(同11.4%減)と北陸16件(同15.7%減)、九州47件(同4.0%減)が2カ月連続、関東245件(同5.4%減)が2カ月ぶりに、それぞれ減少した。
 一方、近畿192件(同1.0%増)が3カ月連続、中国29件(同26.0%増)が2カ月連続、中部91件(同24.6%増)で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 近畿は、卸売業(22→30件)や建設業(24→30件)などで件数が増加した。

2020年8月の都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

FEP(株)/大阪府/テレビほか家電製品製造ほか/30億6,000万円/破産 (株)渡辺自動車/愛知県/輸入自動車販売/30億円/民事再生法 (株)大見屋/愛媛県/スーパーマーケット経営/22億円/破産 GAS JAPAN(株)/東京都/ジーンズ販売ほか/20億円/特別清算 (株)rs/東京都/家電・雑貨販売/18億6,800万円/特別清算

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