「サブスク」広がる 長崎県内のホテルや飲食店 コロナ禍、新たな顧客獲得に

月額料金を払って宿泊できる部屋。ホテルは「コロナ禍前の水準に戻すことができれば」と期待を込める=長崎市、ザ・ホテル長崎BWプレミアコレクション(同ホテル提供)

 長崎県内のホテルや飲食店が、月々定額料金を払えば商品を利用できるサブスクリプション(サブスク)と呼ばれるサービスを始めている。お得感をアピールして新型コロナウイルスの感染拡大で減った需要を喚起し、新たな顧客獲得の機会につなげたい狙いがある。
 サブスクは、商品やサービスを決まった価格で継続的に利用できる仕組み。利用者はお得に商品を試すことができる。企業にとってもリピーターの増加につながりやすい利点がある。
 長崎市宝町のザ・ホテル長崎BWプレミアコレクションは宿泊と飲食に関するサブスクを10月末まで実施している。宿泊は月6万円で、ツインかダブル(正規料金2万3千円~)の部屋に何回でも泊まることが可能。長期滞在するビジネスマンらをメインターゲットに売り出している。
 ホテル内の喫茶利用か飲み物の持ち帰りが1日1回できるサービスは月5千円。コーヒーや紅茶、ハーブティー、ソフトドリンクなどが対象となる。
 同ホテルはコロナ禍で需要が落ち、客足は前年同期と比べて2~3割減った。取締役料飲支配人の井上昌弘さんは「利用しやすい価格で(客を)取り込み、コロナ禍前の水準に戻すことができれば」と期待を込める。
 長崎市鍛冶屋町の「農家Bar NaYa」オーナー、渕上桂樹さん(36)はサブスクの利点を感じている一人。リピーター増につなげようと昨年、サブスクを始めた。月千円払うと、ビワやシイタケなどの果実や野菜を漬けた約60種類の酒を1日1杯まで無料で飲めるようにし「サブスク会員の紹介で新しいお客さんが来ることもあり、デメリットはない」。
 コロナ禍で客足が遠のく中、挽回策として今月末まで新規登録キャンペーンを実施中。渕上さんは「(客が)店を選ぶときの選択肢の一つになり得る。足を運ぶきっかけにつながれば」と話し、新規客の開拓と売り上げ回復を目指す。

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