定年後の保険の見直しはどうすればいい?医療保険やがん保険、今後起こりうるリスク

定年前後というのは、保険の見直しの必須タイミングです。

60歳、65歳などの定年時期にあわせて、払込期間満了という契約をしているケースが多くあります。また、昔に契約をした「定期保険特約付終身保険」などは、主契約の払込期間満了で、医療保険などの特約の契約が終わってしまいます。医療保険がなくなってしまっては困るということで、保険の見直しになるのです。
しかし、保険の契約更新や見直しといっても、保険営業員や無料の相談員の言われるままに契約をしていいのでしょうか?

そこには、大きな疑問があります。そのような60代の保険の設計書を何度も見てきた経験から、言われるままに契約をするのは、正直言ってやめた方がいいです!
せっかくの機会です、自分の入っている保険を見直して、よく検討してムダのない保険に切り替えてはいかがでしょうか?

保険の見直しにあたって、どんなことに注意をして保険を選べばよいのかのポイントを紹介します。


定年後のリスクを考える

60代というのは、大きなイベントが目白押しの時期でもあります。

定年退職、再雇用、子どもたちの独立、住宅ローンの完済、退職金などなどが考えられます。老後生活に向かうターニングポイントでもあり、保険見直しの絶好のチャンスです。どういうことか説明をします。

まず、子どもたちが独立したのならば、子どもの教育費や生活費の大きな保障は必要が無くなります。その後は、葬式代ぐらいの少ない保障で十分です。これで、定期保険などの大きな額の死亡保障は必要が無くなりますので見直しをしましょう。

死亡保険の解約や減額をすることによって保険料はグッと下がります。また、年金暮らしになったら、働けなくなった場合の収入減に備える必要も無くなり、収入保障保険も必要ありません。

医療保険は、どうすればいいのか?

60代・70代になってくると、やはり身体というのは、不調になってくることが多くなります。若い頃は、病院に行くことも無かったという人も、年齢とともに、血圧、コレステロール、肥満などの生活習慣病の症状がでてきます。加齢とともに入院する確率も年齢を経るごとにどんどん上昇します。

では、高齢者には、医療保険は必要ではなのか?という問いに対する、私の答えは、「必要ではない」です。
もともと、医療保険は、優先度から言うと低い商品です。

なぜなら、医療費の自己負担は3割負担です。しかも高額療養費制度があるので、一般的な収入の場合には、9万円くらいしかかかりません。そのため治療費の自己負担額というのはそれほど多くはありません。

さらに、定年退職をされた場合には、所得が下がる場合が多く、年収が370万円以下ならば、高額療養費の上限は5万7600円です。住民税非課税世帯の場合はもっと下がります。また70歳以上の場合の住民税非課税世帯は、さらに負担が下がります。

そう考えるとたとえ高齢になっても、高い保険料を支払って医療保険に入る必要は無いと思います。

がん保険はどうすればいいの?

がんの罹患率をみるとやはり65歳以降急激に上昇します。年齢が上がれば、がんの罹患率も上がりますね。

では、がんのリスクについて考えてみましょう。がんの治療費というのは、健康保険があるので3割負担です。高額療養費制度も同じように使えます。つまりがんの医療費というのは普通の病気と同じで自己負担はそれほど多くありません。先進医療の場合を考えるとたしかに自己負担額が大きくなりますが、実際にはほとんどの治療は健康保険内です。ですので、先進医療を利用する機会は、ほとんどありません。

がん保険の役割というのは、治療費のためではなく、がんの治療によって働けなくなった時の生活費の補塡という意味合いが強いのです。

定年後は、働かないとしたら、働けなくなるリスクは小さいです。とはいってもがんの宣告は精神的にもショックですし、長期に渡っての治療の可能性があるので、経済的な負担が出ることがあります。その場合には、がん保険で備えてもいいと思います。しかし、がん保険は、終身払いの終身保険というタイプが多いので、80歳、90歳になってまでも契約を続ける必要はありません。解約する時期を考えておきましょう。

介護保険はどうすればいいの?

要介護の発生率は、加齢とともに高まっていきます。80〜84歳では27.8%で、85歳以上では60.0%です(生命保険文化センターのHPより)。介護にかかる費用は、損保ジャパンの調べでは、総額800万円ぐらいの自己負担があると言われています。

ですから、介護に対する備えはある程度必要になります。しかし、要介護になるか元気なまま一生を終えることができるのかは、誰にもわかりません。そう考えると、基本は貯蓄で備えておくことが一番いいのです。貯蓄で備えておけば、いざという時に介護に使えるし、介護にならなければ老後資金や子どもたちに残す資産にも使えるからです。

もし、ある程度の貯えがない場合には、保険で備えるのも一つの方法です。掛け捨ての介護保険でいいので検討してみてはいかがでしょうか。

外貨建て変額保険は本当に大丈夫なのか?

定年した人に、銀行などの金融機関でよく進められるのが、「外貨建て変額保険」です。低金利時代ですので円で運用しても増えませんから、外貨建ての保険が主流になっています。

保険と言う名前はついていますが、リスクの高い商品です。元本保証があると言ってもそれは外貨での保証であって、円での保証ではありません。つまり、為替変動で損をすることもあります。オススメできない商品です。

ベストな保険選びは

定年後の保険と言うのは、自分のリスクについて考えるとそれほど必要ではありません。老後の健康などの不安な気持ちはわかりますが、定年後に高額な保険に入るよりも、その分支出を減らして、老後資金に回しておくのがベストな考え方だと思います。

検討してみてください。

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