箱根山、活動低下も注意必要 噴火警戒レベル1から1年

噴気活動の続く中で行われた火山ガスの定点観測(東海大理学部大場武研究室提供)

 火山活動が続く箱根山(神奈川県箱根町)の噴火警戒レベルが1(活火山であることに留意)に引き下げられてから、7日で1年となった。活動は低下した状態が続いているが、大涌谷の噴気は衰えておらず、火山性地震が一時的に増加することもある。専門家は「近年は数年おきに活動が活発化している」として引き続き注意を促す。

 「火山活動は落ち着いている。今のところ、活発化する兆しはない」。6日、大涌谷で火山ガスの定点観測を行った東海大の大場武教授は、活動の現状をそう分析した。採取したガスの成分比が9月の前回調査時とほぼ同じだったためで、震度3相当の有感地震を伴った今月4日の群発地震の影響も「特に見られない」と指摘した。

 近年の箱根山の火山活動は、2015年にごく小規模ながら観測史上初の噴火が起きた大涌谷が中心だ。同年以降、火口などから噴き出す蒸気の勢いは強まったままで、火山ガスの濃度上昇に備えた監視や安全対策が続けられている。

 今のような状況で地震が多発し、地下からのマグマの上昇を示唆する山体膨張の地殻変動が加わると、気象庁は噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げる。

 昨年5月には、それらの現象が観測網で捉えられ、約4カ月半にわたり警戒レベルが2となったが、噴火には至らず終息。県温泉地学研究所は「その後、噴気や地殻変動に特段の変化はない」としているが、群発地震は今月4日だけでなく9月半ばにも起きていることから、「引き続き注意深く観測していく」方針だ。

 気象庁は警戒レベル1を維持する一方で、「大涌谷では活発な噴気活動が続いている。火山灰などの突発的な噴出現象に注意が必要」との見解を示している。

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