ヤンキース 第2戦の先発・ガルシアは正しい選択なのか

ヤンキースは日本時間10月7日に行われるレイズとの地区シリーズ第2戦に新人右腕のデイビー・ガルシアを先発させる。これはポストシーズンでは球団史上最年少の先発登板となる。アーロン・ブーン監督は田中将大ではなく、J・A・ハップやジョーダン・モンゴメリーでもなく、21歳の新人右腕に第2戦のマウンドを任せることを選択したわけだが、いったい指揮官の狙いはどこにあるのだろうか。

第2戦にガルシア、第3戦に田中を先発させるという決断は、第1戦の試合開始前に行われた。つまり、ブーンはガルシアを第2戦に先発させることを決めた段階で、第1戦の勝敗はわからない状態だった。第1戦の勝敗にかかわらず、第2戦にガルシア、第3戦に田中を先発させるのがベストであると考えたわけだ。

第1戦の先発を務めたゲリット・コールには、ある程度長いイニングを投げることを期待できるため、第1戦からリリーバーを大量に投入するような展開になる可能性は低い。これは早期ノックアウトがめったにない田中にも同じことが言える。よって、第1戦をコール、第3戦を田中に任せることで第2戦はブルペンをフル稼働させることができ、勢いのある新人右腕で「行けるところまで行く」という戦略は理解できる。

また、最初の2試合がどのような結果になったとしても、第3戦は非常に重要な試合となる。2連勝で第3戦を迎えればシリーズ突破のかかる試合となるし、2連敗で第3戦を迎えれば生き残りをかけた試合となる。1勝1敗で第3戦を迎えた場合、第3戦に勝利すれば優位に立てる。よって、指揮官にとって「2番目に信頼できる先発投手」である田中に第3戦を任せるという判断は妥当と言える。

それ以外では、ガルシアがまだ一度もレイズ戦で登板していないというところに指揮官の狙いがあるのかもしれない。今回のポストシーズンでは、ブレーブスの新人右腕イアン・アンダーソンが初対戦のレッズを相手に6回2安打無失点の好投。マーリンズの新人右腕シクスト・サンチェスも初対戦のカブスを相手に5イニングを4安打無失点に抑えた。まだ十分にデータが揃っていない状況のなかで、新人右腕の勢いに賭けた部分もあるのだろう。

さらに、相手チームの先発投手に合わせた打線を組むことで知られるレイズの戦術を逆手に取った部分もあるのかもしれない。先発が右腕のガルシアであれば、レイズは左打者を多く並べた打線を組むはずだ(すでに発表されているスタメンでは9人中5人が左打者)。たとえば、ガルシアで行けるところまで行き、2番手として左腕のハップないしモンゴメリーを投入すれば、左打者のところで右打者が代打に起用される可能性が高い。すると、試合後半に投げるであろうアダム・オッタビーノやチャド・グリーンといったリリーフ右腕にとっては追い風となる。

専門家のあいだでも様々な議論が行われているが、ポストシーズンは結果が全て。大舞台で21歳のガルシアがどんなピッチングを見せるか注目だ。

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