DAZN「月間最優秀バッテリー賞」9月候補発表 選考委員・多村仁志氏の基準とは…

DAZN「月間最優秀バッテリー賞」の選考委員を務める多村仁志氏

2か月連続受賞の巨人・菅野は候補外「面白くないですから(笑)」

スポーツ・チャンネル「DAZN(ダゾーン)」が特別協賛する「2020プロ野球月間最優秀バッテリー賞」の9月度受賞候補(8/25~9/27)が発表された。セ・リーグでノミネートされたのは「阪神・スアレス投手と梅野隆太郎捕手」、「中日・祖父江大輔投手と木下拓哉捕手」、「DeNA・上茶谷大河投手と戸柱恭孝捕手」の3組だ。同賞の選考委員で、現役時代は横浜(DeNA)、ソフトバンク、中日でプレーし、第1回WBC優勝メンバーでもある多村仁志氏は、どんな基準で候補者を決めているのだろうか。

「データですよね。どういう成績を残しているのか、どういう貢献をしているのかが一番のメインになります。そして、選ぶファンの方たちにも分かりやすい選び方にさせていただいます」

勝ち星、防御率、奪三振数など「数字で分かりやすいところ」に注目。今回の候補に選ばれた3組を見ても、選考対象期間中の活躍は目覚ましい。スアレスと梅野は8セーブを記録、祖父江と木下は失点・自責点ともに「0」、上茶谷と戸柱は2位を争う阪神戦で2度勝利。3組それぞれ受賞にふさわしいパフォーマンスを見せた。

今回から少し変わったのは、候補者に救援投手が入ったことだ。投手の分業化が当たり前となった今、先発投手と救援投手が果たす役割の大きさは変わらない。特に、コロナ禍で開幕が遅れた今季は、序盤に各球団でクローザーが不調となる波乱。多村氏は「やっぱりコロナ禍の中で調整が難しかったのかなと思います。キャンプで作り上げたものが、1回リセットされてしまったような感じだと思いますから」と話す。

そういった状況の中で奮起したのが、スアレスだった。多村氏はスアレスについて「移籍1年目でクローザーになって、チームを2位に持っていった。藤川(球児)投手が今季限りで引退という話になりましたけど、その中で後ろでしっかりやってくれた」と高く評価する。

中日は8月の大野雄大&木下に続き、2か月連続の候補入り。今季は2012年以来、8年ぶりのAクラス入りも見えているが、その原動力となっているのが投手陣の活躍だ。特に大野は菅野に次ぐセ・リーグ2位の防御率2.18をマークするなど絶好調(10月5日現在)。その理由は、昨季から指揮を執る投手出身の与田剛監督と阿波野秀幸投手コーチにあると多村氏は見る。

「大野投手によると、与田監督は昨年就任した際に、勝ち負けだけではなく、長いイニングを投げてくれれば評価に繋がるという話をしてくれたそうです。それで自分のパフォーマンスを見せることが大事だと気付いたんでしょう。また、阿波野コーチがピンポイントで教えてくれたヒントのおかげで、球の走りが変わったとも言っていましたね」

「月間最優秀バッテリー賞」2か月連続受賞の巨人・菅野&大城が候補を外れたワケ

さて、今季から新設された同賞を2か月連続で受賞した巨人・菅野智之投手と大城卓三捕手だが、今回は候補入りしていない。その理由を多村氏に聞くと……。

「今年の菅野投手はすごいですよね。逆にすごすぎます。このまま沢村賞を獲る感じだとは思いますが、それだけでは面白くない(笑)。いろいろなところにスポットを当てたいと思って、ブルペン陣からもピックアップしてみました」

つまり、菅野&大城は「すごすぎる」ために選を漏れたというわけだ。だが、今季の無双ぶりは誰の目にも明らかで、別格扱いでも大いにうなずけるところ。10月5日現在、開幕から無傷の12連勝という菅野について、多村氏はこう語る。

「今年、何がすごいと思ったかと言えば、投げ方ですよね。あれだけの実績を残しながら、何かを変えないといけないと、あの投げ方に変えたことが1つ、大きな転機になったとは思います。でも、元々持っているスキルは高い選手で、以前からボールの切れ、コマンド能力はすごかった。あとは田中将大投手もそうでしたが、負けない技術は持っている。このまま最後まで負けずに、防御率も1点台を維持してもらいたいですね」

菅野のような大投手が君臨する一方、今季のセ・リーグは2投手による新人王争いも面白い。多村氏は特に、ルーキーの広島・森下暢仁投手に注目。坂倉将吾捕手とともに、成長が楽しみなバッテリーだという。

「森下投手はいいピッチングをしますね。今後も、球界でトップクラスの成績を残す投手になってほしいですね。広島はキャッチャーの坂倉選手もいいものを持っている。期待される中で結果を残し始めていますから、実績ある先輩を越えてほしいですね。こういう若いバッテリーが出てきてくれると、本当にプロ野球は面白くなると思います」

今、活躍するバッテリー、将来が期待されるバッテリー。彼らが披露する圧巻パフォーマンスが、最終盤を迎えるプロ野球を大いに盛り上げてくれそうだ。
(Full-Count編集部)

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