精神科医が教える「怒りをコントロールする技術」

ついイラッとして暴言を吐いたり、怒りのメッセージを送ったりしたことは、誰にでもあるのではないでしょうか。怒りの感情は、人間関係のトラブルを巻き起こしたり、後になって大きな後悔をしたりするので、取扱注意です。では、「怒り」はどうコントロールしたら、いいのでしょうか? 精神科医の樺沢紫苑さんの著書『ストレスフリー超大全 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』から抜粋して紹介します。


「怒っている自分」に気づく

ファクト1 怒りに気づく
怒ることを「我を失う」と言いますが、怒りによって自分がわからなくなり、理性のコントロールができなくなる状態になります。

大事なのは、「自分は怒っているんだ」という自分の怒りに気づくことです。できれば、「自分はこれから怒りそうだ」「このままいくとキレそうだ」「なんかイライラしてきた」と、「怒りの兆候」を先に認識することができれば、怒りをコントロールすることができます。

「怒り」が「暴れ馬」だとすると、「怒りの認識」は「手綱をしっかりと握ること」です。馬が暴れそうだと思ったときに、手綱を握って馬をコントロールします。手綱をちゃんと握っておかないと手から離れてしまい、馬が暴れ振り落とされてしまいます。

To Do1 「自分は怒っている」とつぶやく
それでは、どうすれば怒りに気づけるのでしょうか。

「怒りがこみ上げてきたとき」に、「今、自分は怒っている」と心の中でつぶやけばいいのです。「今、自分は怒っている。今、自分は怒っている。今、自分は怒っている」と、心の中で3 回つぶやいてください。1 人でいるとき、目の前に相手がいないような場合は、声に出すといいでしょう。

「そんなことで?」と思うでしょうが、試しにやってみると、絶大な効果があることがわかります。

「6秒ルール」と「40秒ルール」

ファクト2 「怒り」の正体を知る
そもそも「怒り」とは何でしょうか。

脳科学的・身体的に「怒り」を分析すると、「怒り」とは、「アドレナリン分泌」と「交感神経の興奮」です。体内の変化で心拍数が上がり、呼吸が浅くなり、頭に血が上り、カッとした状態に陥るのです。

つまり、「アドレナリン」と「交感神経」の2 つをコントロールできれば、怒りは確実に収まります。怒りのコントロールが可能になるのです。

To Do2 「6 秒ルール」で怒りのピークをやり過ごす
アドレナリン分泌のピークは、怒りを発してから「6 秒後」と言われます。つまり、最初の6 秒間をやり過ごせば、その後は徐々に冷静さを取り戻すことができるのが「6 秒ルール」です。

1から6までをゆっくりと頭の中でカウントする。あるいは、目の前に見えている物の名前を6 つ、ゆっくりと順番に、「机、蛍光灯、カレンダー、本棚、冷蔵庫、時計……」というように列挙します。

先ほどの「今、自分は怒っている。今、自分は怒っている。今、自分は怒っている」という言葉を心の中でつぶやいても、6 秒が経過します。

To Do3 「40秒ルール」で怒りを沈静化する
とはいえ、「6 秒ルール」を実践してみると、「怒りのピーク」は回避できたとしても、イライラは収まらないことに気づくはずです。なぜなら、アドレナリンが少なくなるまではもう少し時間がかかるからです。

生理活性物質は、ピークからその濃度が半分程度にまで減ると、効果が非常に弱くなります。その濃度が半分に減るまでの時間を、「半減期」と言います。アドレナリンの半減期は20 ~ 40 秒だとされています。

なので、「6 秒ルール」と「40 秒ルール」をうまく併用することで、怒りを上手にコントロールできるのです。

40 秒間をやり過ごす方法が、「正しい深呼吸」です。5 秒で吸って、15 秒以上かけてすべての息を吐き切る。この「20 秒の深呼吸」を2 回行うと、ちょうど40 秒になります。

深呼吸をすると、交感神経優位が副交感神経優位に切り替わります。怒りはクールダウンし、冷静さを取り戻します。深呼吸は、怒りを感じてから行うのではなく、「怒りそうになる場面」で予防的に行うとさらに効果的です。

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