転職に本当に役立つ「資格トップ3」資格自体には価値はない?

コロナの影響で、日本経済が大打撃を受け雇用が激減をしています。不景気になると、”自己研鑽”する人が多くなり、資格取得に勤しむ人が多くなりがちです。しかし現実には、転職に有利にならない資格もたくさんで、無駄な時間とお金を使っている人が多くいます。面談人数2000人以上、300社以上の転職支援をしている転職コンサルタントの池田佑樹が、転職で本当に役に立つ「汎用性の高い資格」を厳選して3つ紹介をします。


資格自体に価値はない

人は不安に駆られると「何かしなければ」と焦り、目先の情報を鵜呑みにして無駄な事をしてしまいがちです。その最たるものが、資格取得だと私は考えます。

資格というのはゴールがあって初めて必要になるもの。厳しいことを言わせてもらいますが、明確な目的意識がなく、資格取得しようとしている人が多すぎます。

「この資格を持っていれば転職できる」「この資格さえ取れれば一生安泰だ」

そんな資格は、ありません。

・あなたの進みたい方向に、本当に資格が必要ですか?
・資格取得をする前に、そもそもあなたの進みたい方向は決まっていますか?

取得の際は、この2つを改めて考えてほしいです。

資格取得をするには、お金も時間も掛かります。もちろん「役に立たなくても、興味ある分野だからそれで良い」という動機で資格を取ることは、素敵なことだと思います。

でも、「転職や仕事で役立てたい」という動機であるなら、資格取得は吟味しましょう。一定以上の見返りがなければ、非常にもったいない投資になってしまいます。景気がよくない今、1秒1円だって無駄な自己投資は避けたいものです。

国家・民間・公的資格を合わせて、日本に資格は1000以上。玉石混交で、仕事の面からは”使えない資格”だって多くあります。世の中には何を証明している資格か分からず、履歴書の資格欄に記載をしても、何も思われない資格が多いのが実情です。

資格ビジネス会社が「簡単に取れる人気の資格」と魅力的にプロモーションしています。でも、「簡単に取れる資格」は転職で役に立ちません。

本当に価値の高い資格は、合格率が非常に低い、難易度の高い資格です。かと言って、「医師、弁護士、公認会計士の資格は本当に役立ちます」と言うのはアドバイスにならないですよね。

そこで「サラリーマンでも取得が現実的」で、かつ「汎用性の高い」、転職で役立つ資格を3つ紹介します。

転職に役立つ資格ランキング、3位と2位

●第3位 宅建士
3位は宅地建物取引士、通称”宅建”です。

オススメの理由は(1)業務独占資格、(2)必置資格、(3)汎用性が高い、この3点です。

まず業務独占資格という点ですが、宅建士を持っていると、不動産の売買や賃貸物件の斡旋をする際、お客様に詳細説明をすることができるようになります。これは、資格を持っていないとできない業務となります。この様な、「資格をもってないと特定の業務ができない資格」を「業務独占資格」と言います。業務独占資格と言うのは、価値の高い資格です。

また、土地や建物の売買をおこなう不動産会社は、宅建士がいなければ経営自体ができません。この様な「事業を行う際、資格保持者を最低一人必ず置かなければならない資格」を「必置資格」といいます。必置資格は、転職に役立つことが多いです。

また宅建士は、不動産業界のみでしか役に立たない印象がありますが、金融業界、建築業界、役所、一般企業の財務などでも活躍ができます。また、転職だけでなく独立でも有利になる国家資格で、汎用性が高いという点もオススメの理由です。

●第2位 日商簿記(2級以上)
2番目にオススメの資格は、日商簿記です。オススメの理由は(1)ニーズが多い、(2)社会的評価のある資格、(3)どの職業でもプラス評価になる、この3点です。

日商簿記を持っていると財務・会計知識の証明となり、特に経理、財務、総務、一般事務など、管理やアシスタント系の仕事の転職で有利になることが多いです。

実際に財務、経理、事務の求人票に必須項目に「簿記2級以上」と記載をしている求人も少なくありません。

また簿記という資格自体の認知度が非常に高く、社会的評価が高い事もオススメの理由の一つ。簿記は資格自体の認知度・価値が高いため、履歴書の資格欄に「簿記」があると、評価が上がる可能性が高いです。

また財務・会計知識は、どのビジネスにおいても必要な知識となります。営業、マーケティング、経営企画、事業企画などの職業でもプラス評価になる、汎用性が高い資格と言えます。

転職に役立つ資格ランキング、1位は?

●第1位 TOEIC
私が一番オススメの民間資格は、英語能力テストのTOEICです。(1)市場価値アップ、(2)キャリアの広がり、(3)どの職業でもプラスになる、この3点がオススメの理由です。

「グローバル化に伴い英語力が必須になる」と昔から言われていますが、実際にビジネスで英語が使える日本人は少なく貴重な存在。つまり、「優秀なビジネスマン」は多い一方、「英語のできる優秀なビジネスマン」は少ないのが実情です。

この様に、英語ができる人材は需要が多く供給(人材)が少ないため、市場価値が高く、転職がしやすく、高年収、好待遇のオファーが期待できます。

また、英語力の魅力はそれだけに留まりません。ほとんどの職業に英語力を掛け合わせる事で、仕事の範囲を広げられます。ポイントは、どの仕事においても可能性が広がるという点。

たとえば、「営業×英語」「マーケ×英語」「事務×英語」「エンジニア×英語」、このように、英語ができる事で応募できる求人が増え、外資系企業への転職の可能性も広がります。

なおビジネスで英語を使った経験が無い場合、TOEICスコア800点以上が望ましいでしょう。仕事の将来性と専門性という観点で考えると、英語力を武器にした職業ではなく、「本業×英語力」というスキルアップを目指すことを、強くオススメします。

以上、2000人以上の面談者を思い出しながら、「転職でガチで役立つ資格トップ3」を記しました。ただ繰り返しますが、この3つの資格を取ったからと言って「一生食いっぱぐれない」なんてことはありません。あくまで、「自分にとって必要なのかどうか」を見極めましょう。

やみくもに「資格取得するための時間」よりも、家族との時間や恋人との時間など、「幸せな時間」を大切にするべき。私はそう思います。その上で、本記事がこれから資格取得をしようとしている方や、いま資格取得のために頑張っている方の参考になれば幸いです。

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