闘病中の子どもたちの不安を和らげ、治療を支える「ファシリティードッグ」として県立こども医療センター(横浜市南区)などで活躍したゴールデンレトリバー「ベイリー」が、体調を崩して死んだ。12歳だった。2018年10月に引退するまで約8年間、医療施設に常駐し、延べ2万2500人以上の子どもたちに寄り添ってきた。
ファシリティードッグを派遣する認定NPO法人シャイン・オン・キッズ(東京都)によると、引退後はハンドラーの森田優子さんと横浜市の自宅で過ごしていたが、10月1日午後に容体が急変し、息を引き取った。人間に換算すると80代ぐらいだった。
ベイリーはオーストラリア生まれのオス。米ハワイで訓練を受けた後、10年に来日。最初の2年間は静岡県立こども病院で活躍し、12年7月に神奈川県立こども医療センターに移った。がんや心臓病など重い病気の子どもたちの添い寝やリハビリの付き添いなどを通して励ましてきた。
同センターの町田治郎総長は「引退後もベイリーの人気が衰えることはなかった。病気の子どもたちを、そして疲れた医療従事者を笑顔にできる力は素晴らしかった。さようなら、楽しい思い出をいっぱいありがとう」と述べ、別れを惜しんだ。