重文の千手観音、迫力の実物大パネル 海老名・温故館

展示されている龍峰寺の千手観音の実物大写真パネル=海老名市国分南の温故館

 神奈川県海老名市立郷土資料館「温故館」(同市国分南)で、市内の観音像を写真で紹介する企画展「えびなの観音さま」が開かれている。仏像としては市内唯一の国の重要文化財である龍峰寺(同市国分北)の千手観音を迫力ある実物大パネルで展示している。県立歴史博物館(横浜市中区)で10日に始まった特別展「相模川流域のみほとけ」との連動企画で、12月6日まで。

 龍峰寺の千手観音は台座を含めた高さが195センチ。本体を一本の木から造る一木(いちぼく)造りで内部をくりぬいていない技法や、下半身の衣の表現手法などから、製作年代は奈良・平安時代とする説と、目に水晶を入れる玉眼(ぎょくがん)が使われていることから鎌倉時代とする説がある。計42本の腕に弓、おの、貝など人々を救うためのさまざまな道具を持っている。通常は年2回の開帳だが、現在は特別展のため県立歴史博物館に移されている。

 温故館では、実物大の正面の写真パネルの横に、やや小さめの背面の写真を飾るなど、実際の仏像では見えにくい姿も展示。市内にある15寺の観音像と、路傍にたたずむ石の観音像などの写真も紹介している。

 温故館の押方みはる館長によると、龍峰寺には小さな100の観音像が並ぶ「百観音」もあり、江戸時代には観音信仰で関東一円から多くの参詣者が集まったという。大西龍彦住職は「千手観音は年2回しか公開していないので、パネル展示を多くの人に見てほしい。県立博物館にも訪れてほしい」と話した。

© 株式会社神奈川新聞社