大雨災害 「逃げる判断」準備を 長崎大大学院 鈴木誠二准教授

「河川はあふれるもの」との意識を常に持つべきと話す鈴木准教授=長崎大

 7月の大雨で護岸が決壊した佐奈河内川や郡川について、現地での痕跡調査や住民へのヒアリングを通じて当時の状況を分析している長崎大大学院工学研究科の鈴木誠二准教授(河川工学)に話を聞いた。

 -佐奈河内川が氾濫した原因は。
 佐奈河内川が郡川と合流するあたりで一番被害が大きかった。その少し上の支流では、一部で「バックウオーター現象」が発生し水があふれたとみられる。ただ、佐奈河内川が氾濫した直接的な原因は、線状降水帯の発生による大雨で流下能力を超える水量が流れたためと考えられる。

 -長崎県の川の特徴は。
 日本の川は短くて勾配が急という特徴があるが、長崎の場合は特にその傾向が顕著。大雨が降った場合に短時間で水量が増える特徴があり、今回の福重地区での氾濫も1~2時間という短い間で一気に起こっている。そのため、場合によっては、避難が手遅れになってしまう恐れもある。

 -どのような点に気を付けるべきか。
 「河川はあふれるもの」という意識を常に持つこと。河川の整備は「50年に一度」「30年に一度」など一定の確率を想定して設計しているため、本来「想定外」ということはあり得ない。それより強い雨が降れば当然氾濫するもの。こうした事態に備え、降り始めからの雨量や1時間雨量などを参考に、「ここまで降ったら避難する」という基準をあらかじめ決めておくといい。防災無線や報道などの情報は全体に向けて発信しているので、自分が住んでいる場所に必ずしも合っているとは言えない。ハザードマップも活用して周辺の状況を把握し、逃げる逃げないの判断を自分でできるようにしておきたい。

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