【えほんのとびら】 No.210「ティリーのねがい」

こぐま社
作:フェイス・ジェイクス
訳:小林 いづみ

 人形の家に住むメイド人形のティリーは、料理番人形に小言を言われながら掃除、洗濯、繕いもの、アイロンがけ…と家事に追われる生活にうんざり。ある日、自由に暮らせる場所を求めて家出を決意しました。 「ためらうものはチャンスをにがす」

 親切なぬいぐるみのくまのエドワードに案内されてたどり着いたのは、古い温室。がらくたが散乱し、くもの巣のかかった乱れた場所ではありましたが、ティリーはそこに自分の家を作ることにしました。 「意志あるところに 道おのずからひらく」

 ティリーは、小枝でほうきを作ったり、プラスチックのカップを洗濯おけにしたりしながら快適な住まいづくりに専念。メイド時代にならした腕で「きょうの一針 あしたの十針」と、繕いものにも励みます。そして一週間後には、エドワードも目を見はるほどの居心地のよい家を完成させることができました。

 格言めいた言葉を口にしながら段取りよく仕事をすすめていくティリーの見事な働きぶりは、細部まで丁寧に描かれた絵からも伝わってきます。

(ぶどうの木代表 中村 佳恵)

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