日本では2020年9月18日に公開となったドキュメンタリー映画『メイキング・オブ・モータウン』。昨年、設立60周年をむかえたアメリカ音楽業界を代表するレーベルや創設者ベリー・ゴーディについて迫るこの映画の冒頭映像が公開となった。
この冒頭映像では、創設者ベリー・ゴーディが関係者以外をシャットアウトして行われていた品質管理会議(Quality Control Meeting)の実際の音源を聴くことができる。この会議は1960年代にモータウンのデトロイト本社でベリー・ゴーディが開いていた会議であり、現在米ヒップホップを代表するレーベルQuality Control(モータウンと提携している)の元ネタとも言われている。
ゴーディは会議の冒頭に、
「会議は真剣勝負だ。ここからレコードが生まれストリートにでていく。高い水準で、しっかりとした曲を作り続けないとモータウンに悪いイメージがつくことになる。今週はトップ10に1曲入った。マーヴィンとタミーだ。素晴らしい」
と告げ、アーティストたちの楽曲の進行状況を伝え
「質では妥協しない。プロデューサーたちが不満を言っている。だが10年いていい曲が書けなければ、新曲は発売しない。だがここにいればチャンスは常にある」
と締めくくっており、レーベル全体としてのクオリティの保持を重要視していたことがうかがえる。
uDiscoverに以前掲載した、マーヴィンとタミーによる名曲「Ain’t No Mountain High Enough」の作曲家であるヴァレリー・シンプソンのインタビューでも、この品質会議についての話題となり、彼女はこう語っていた。
「私たちはラッキーなことに、(品質会議で)落とされたことがありませんでした。私はその会議には出てなくて、ニック(ニコラス・アシュフォード:夫である作曲パートナー)が行っていたんですが、当時スモーキー・ロビンソンとかノーマン・ホイットフィールドが書いた曲は会議でよく落とされていたみたいです。だからニックは凄く緊張していたみたいで…。でも、そんな中で私たちの曲は誰からも何も言われず、ベリー・ゴーディJr.は “そのまま出しちゃおう” と。もう品評する必要もないという感じで。例えばマーヴィン&タミーの“You’re All I Need To Get By”(68年)は、そうやって世に出された曲のひとつでした」
You're All I Need To Get By
また、映画のヒットを記念して、ノーナ・リーヴスの西寺 郷太と、映画の監修と務めた林 剛の両名によるトークショー付き上映が決定した。ヒューマントラストシネマ渋谷の 10月15日(木)18:30の上映会後に行われる。チケットは現在予約受付中。
Written By uDiscovermusic
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映画『メイキング・オブ・モータウン』
2020年9月18日日本公開
監督:ベンジャミン・ターナー、ゲイブ・ターナー
出演:ベリー・ゴーディ、スモーキー・ロビンソン
2019/カラー/5.1ch/アメリカ、イギリス/ビスタ/112分
原題: Hitsville: The Making of Motown
字幕翻訳:石田泰子 監修:林剛 配給:ショウゲート
©2019 Motown Film Limited. All Rights Reserved
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国劇場にて公開中