リビングに絵を飾りたいけれどセンスよく飾るのが難しい、どんな絵を飾ればいいのか分からない、という方にリビングに絵を飾るコツや絵の選び方を解説します。あわせて、初心者でも取り入れやすいおしゃれで素敵なインテリア例も紹介していきます。
リビングに絵を飾るメリット
リビングは、家の中でも長い時間を過ごす場所。家族が集まってくつろぐ場所であり、ときにはお客さんをむかえる場所でもあります。日本ではリビングに絵を飾るという習慣はあまり根付いていませんが、欧米では絵を飾っている家庭を多く見かけます。絵を飾るメリットを紹介します。
フォーカルポイントをつくり、メリハリのある空間に
フォーカルポイントとは「焦点」「目を引く点」という意味。インテリアにおいては、人の目線が集まるところを意味します。部屋に入ってきたときに印象的な花が飾られていたり、インパクトのある置物があったりすると、そこに自然と視線が集まります。リビングの壁面に絵が飾られていることでフォーカルポイントとなり、部屋のアクセントになります。壁に飾られた絵は、空間にメリハリを与えてくれる重要な役割を果たします。
空間に彩りを与える
真っ白で何も手を加えられていない壁には清潔感がありますが、少し寂しい印象もあります。そんな殺風景なリビングのインテリアに彩りを与えてくれるのが絵の存在です。シンプルすぎる部屋に飽きてきたという場合も有効です。絵を飾るだけで部屋の雰囲気は大きく変わるもの。たとえばモノトーンの部屋にひとつカラフルな絵を飾れば、部屋がぐっとセンスアップし華やかになるでしょう。
個性を表現することができる
好みのテイストを詰め込んだリビングは、自分らしさを自由に表現できる場所でもあります。自分の興味があるジャンルやアーティストの作品を取り入れてみるのもいいでしょう。少し部屋の雰囲気を変えたいときに家具や壁などを変えることはなかなか難しいですが、絵なら掛け替えるだけで簡単にできます。お気に入りのアートを選ぶことで、自分らしい個性的な空間を楽しめます。
インテリアが引き立つおしゃれな空間に
インテリア好きな人こそ絵を飾ることをおすすめします。リビングに絵を飾ることで、まるでギャラリーのようなおしゃれな空間になります。思い切って大きい絵を選んでみたり、複数の小さい絵を組み合わせたり、インテリアとコーディネートすることで部屋全体をぐっと洗練された雰囲気に格上げしてくれます。
絵を飾るときのコツ
絵を飾ることでインテリアをセンスアップできることがわかりましたが、実際どのように飾ればいいのか悩んでしまうかもしれません。センスよく飾るためのコツについて紹介します。
目線の高さを中心に飾る
フォーカルポイントを作ることで視線を自然に集められるというのが、絵を飾ることによる効果のひとつです。絵を飾るときには「目線の高さを中心に飾ること」を意識するのがコツ。目の高さよりも少し低い方が見やすいので、迷ったら目線の高さか少し低めにするとバランスよくみえます。多くのアートギャラリーでもこの法則が取り入れられていて、絵の中心部が床から140~150cmの高さになるように展示されていることが多いようです。
ソファの近くに飾る場合などは、ソファに座ったときの目線に合わせて飾るという方法もおすすめです。あえて少し低めに飾ることで、落ち着いた空間を演出する効果もあります。
空間の形に合わせる
絵を飾るときは空間の形に合わせるとおさまりがよく、自然な雰囲気になります。絵を飾りたい空間が横長なら横長の絵、空間が縦長なら縦長の絵を飾りましょう。目線の高さを意識することも重要ですが、空間の形に合わせるとよりスタイリッシュな印象の部屋になります。天井が高い部屋なら家具の上部から天井までの高さの中心部分に飾るという方法もあります。スペースに応じてベストなバランスを見つけてください。
壁の余白に対して絵の占める面積が大きければ、華やかで大胆な雰囲気に。逆に空間に占める面積の割合が小さければ、カジュアルでシンプルな印象に仕上がります。
家具の場所に合わせる
家具と絵のバランスが取れていることも重要なポイント。リビングのソファやベッド、テレビなど大きい家具の近くに絵を飾る場合は、サイズ選びや配置を慎重に進めましょう。たとえば、壁を背にソファを配置しているレイアウトであれば、ソファの上部から天井までのスペースは絵を飾るのに適したスペース。テレビの場合も同様に、テレビの上部から天井までスペースや両端があいていることが多いでしょう。
絵の飾り方
絵を飾る場所に続いて、飾り方のポイントを紹介します。壁に掛けるのが一般的ではありますが、掛け方にもさまざまな種類があります。1点だけ飾る場合や複数飾る場合など、配置もさまざまです。せっかく絵を飾るなら、目指したいイメージに合わせて飾り方も工夫してみましょう。
壁掛け
掛けたい絵がキャンバスか額入りのものかなど、その形状や重量などによって掛け方が異なります。キャンバスをそのまま壁に飾る場合は、2つのだるまピンに引っ掛けるようにしてキャンバスをはめ込めばOK。ただし重量が1kg以下程度のものに限ります。主に額入りの絵で、絵の後ろに紐がついているタイプであればフック付きのピンを壁に差し、そこに紐を引っ掛ける形になります。こちらも重量は1~2kg程度のものを目安にしましょう。
重量がある大きい絵は複数のピンがあるものを使用し、必ず使用前に耐重量を確認しましょう。ポスターなど軽いものであれば壁を傷つけずにはったり剥がしたりできる粘着テープもあります。飾りたいアートの種類によって使い分けてください。
直置き
額に入れた絵は壁に飾るものと思い込みがちですが、床に直接置く方法もあります。リビングやダイニングの床に置くのはもちろん、階段を利用してもいいでしょう。スツールや観葉植物と組み合わせると、アートを中心としたひとつのコーナーのように仕上がります。さらにフロアランプをプラスしてスポットライトを当てるなどすれば、おしゃれ度もぐっとアップします。床に置くだけなので設置は簡単。賃貸物件で壁に釘や鋲で穴を開けるのに躊躇する場合も、床への直置きなら安心です。
床に直接置くことに抵抗があるなら、家具の上に置くのもひとつの方法。デスクの上、オープン棚の上や中もおすすめです。絵を独立させたい場合は、イーゼルに乗せてもいいでしょう。
絵の配置パターン
絵を飾る際は1点だけでなく、ギャラリーのように複数の絵を飾る方法もあります。似たテイストやデザインの絵を一か所にまとめて飾ることでより個性を強調しやすく、海外のギャラリーのような雰囲気を作ることができます。落ち着いた雰囲気にしたいのか、あるいはカジュアルに見せたいかなど、絵の配置次第で印象は大きく変わります。一度床に置いてみて、隙間などのバランスを試しながら、何パターンか組んでみるといいでしょう。
一点集中型
人の視線を集めるフォーカルポイントを作るのに適しているのがこの一点集中型。大きめの絵を一点だけ飾るというシンプルな方法です。インパクトのある絵を選ぶことでインテリアの主役になり、迫力満点。リビングに入ってきたときに真っ先に一点の絵に視線が集中し、話題になること間違いなしです。
串の字型
サイズの違う絵を三枚以上飾るときに使えるのが「串の字型」のレイアウト。絵の中心をそろえて飾る方法で、「串」という漢字を横にしたような見た目になることから串の字型といわれています。テイストは同じであっても大きさが違う絵を一か所に飾りたいとき、中心をそろえて並べることで統一感を出せるのがメリットです。
行列型
異なるサイズの絵を飾るもうひとつの方法が「行列型」。絵の下のラインをそろえて飾る方法です。串の字型は上下に段差ができますが、行列型では一辺の位置がそろっているので、絵の大きさの違いが気になりにくいという特徴があります。
田の字型
同じ形・大きさの絵を4枚飾るときによく使われるのが「田の字型」。漢字の田の字のように配置する方法です。横に2枚×縦に2枚を並べるのが基本ですが、横に4枚×縦に2枚など数を増やして拡張することも可能。数を増やしても全体の統一感を保てるのが田の字型の特徴です。
階段型
絵を飾る高さを徐々に変えていくのが「階段型」。同じ大きさの絵を飾るときに有効で、その名のとおり、階段のように少しずつ高くして並べます。一定のリズムを感じさせ、視線の動きを利用した動きのあるレイアウトです。
アート型
「アート型」は、星型やハート型、ひし形や丸形など、絵の配置で形を作っていく方法です。ある程度のスペースが必要なことや、バランスをとるのが難しいのがネックで、上級者向けといえるでしょう。テクニックが必要とされますが、絵からイメージさせる形に並べるなど、こだわりを感じさせる空間に仕上がります。
住宅街型
大きさや形の違う複数の絵を規則正しく並べ、住宅街のような配置にする方法を「住宅街型」といいます。長方形や正方形など異なる形の絵を使い、遠目からも見たときにひとつの四角のまとまりになっているようなイメージ。絵を住宅の敷地、道路を隙間ととらえ、等間隔でならべるとすっきりとまとまります。
ランダム型
一定の法則やルールを無視し、大きさや形もさまざまな絵を自由に飾るのが「ランダム型」。絵の枚数も気にせず、ランダムに飾っていきます。形や絵の高さや幅を揃えずに自由きままに飾る方法。目線の位置や家具とのバランスなど基本的な配置場所をおさえておくことが、乱雑にならないポイントです。
おしゃれに見える絵の選び方
アート初心者にとってもっとも難しいのが、絵の選び方かもしれません。基本的には好みの絵を選べばいいのですが、選び方のコツを知っておくと迷いなく決められます。
インテリアテイストと揃える
素敵な絵を選んでも、インテリアにマッチしていないと全体がちぐはぐなイメージになってしまいます。北欧、モダン、ヴィンテージ、シンプル、ナチュラルなどインテリアのテイストはさまざま。家具のデザインや部屋全体の雰囲気に合うテイストの絵を選ぶのがおすすめです。迷ったらモノトーンでシンプルなタッチの作品を選ぶといいでしょう。モノトーンの絵なら、比較的どんなテイストの部屋でもなじみやすいので初心者には安心です。
絵のテイストを揃える
複数の絵を飾りたいときは、テイストを揃えることをおすすめします。同じアーティストの作品にしたり、モチーフを統一させたり、額縁のデザインもそろえると全体的にまとまり感が出るでしょう。
絵は運気を上げるとも言われています。富裕層の住宅でよく見かける赤富士の絵や、ご縁の運気を上げたいなら花のモチーフ……など、風水的によいとされている絵もいろいろ。どんな運気を上げたいのかによってモチーフを選んでもいいかもしれません。
家具やファブリックのカラーと合わせる
家具やファブリックの色と合わせるとインテリア全体でみたときに絵だけ浮いたりしないのでおすすめ。絵だけでなく額縁選びも重要なポイントです。ベージュ系のナチュラルテイストなら額縁もナチュラルなものを、ダークトーンの家具が多いなら同じくダークブラウンなどの額縁を選ぶと失敗しません。
アクセントカラーを取り入れる
インテリアのテーマカラーを絵でも取り入れるとうまくなじみ、洗練された空間になります。一方で、ホワイト、ブラック、グレーを中心としたモノトーンの部屋の場合は、絵をアクセントカラーとして取り入れるのもおすすめです。空間に華やぎを与え、引き締めてくれる効果があります。
【テーマ別】絵を飾ったインテリア実例
インテリアに合う絵を選ぶことがおしゃれな空間づくりのポイントですが、実際にどのように組み合わせればいいのでしょうか。初心者でも取り入れやすい絵とインテリアの相性でおすすめの例を紹介します。
北欧インテリア×モノトーンイラスト
北欧インテリアは根強い人気があります。デザイン性が高く温かみのある北欧テイストには、シンプルなモノトーンの絵がよく合います。モノトーンであれば少し辛口なテイストにもおすすめ。モノクロアートがシンプルなインテリアを引き締めてくれるでしょう。また、白い壁紙にブラックのフレームを選ぶことで、絵がより映えて美しく見えます。
北欧インテリア×モノトーン英字ポスター
北欧インテリアには、英字ポスターもおすすめです。やさしい雰囲気の北欧テイストに、シンプルでシックな英字ポスターを貼ることでバランスのとれたインテリアになるでしょう。白い壁紙に白いフレームを合わせると、モノトーンの英字が引き立ちます。
ナチュラルインテリア×モノトーン英字ポスター
モノトーンポスターはナチュラルテイストの部屋もぴったりです。真っ白な壁にコントラストがついておしゃれに仕上がります。奇抜な色使いよりは、控えめのモノトーンの方が、清潔感があってすっきりと大人っぽい印象になるでしょう。
北欧インテリア×イラストアート
温かみのある木目が多く使われる北欧インテリアには、アースカラーなど落ち着いた色味で描かれたイラストアートがおすすめです。なかでも人気の高いバーズワーズは、鳥や花などをモチーフにした作品が多く、北欧インテリアなど落ち着いたテイストに馴染みやすいでしょう。落ち着きが増してより大人っぽい部屋になるでしょう。
モダンテイスト×モノトーン英字ポスター
ホワイトやグレーでまとまったモダンなリビングには、英字ポスターが好バランス。思い切ってインパクトのある作品を選んでみてもいいかもしれません。インテリア雑貨とフレームの素材を合わせることで、統一感が出ておしゃれ度がぐっと上がるでしょう。
モダンテイスト×絵画
モダンなインテリアに絵をプラスするなら抽象画なども相性抜群です。絵だけを見ているとつかみどころなく感じるかもしれませんが、ホワイト・グレー・ブラックなどの無彩色カラーでまとめたインテリアの中に置かれると、上品で絶妙な存在感を放ちます。
ヴィンテージテイスト×絵画
こだわりが詰まったヴィンテージテイストのインテリアに油絵や水彩画などの絵を飾ると、部屋の雰囲気により深みが増します。“本物”感のある絵画が、インテリアの質感を引き立ててくれるでしょう。
アートのある生活をはじめよう
玄関からリビングに入ってきたとき、ソファでくつろぐとき、ふと窓辺を眺めるとき……、何気なく視線の先に素敵な絵が飾ってあるとより落ち着く空間になります。リビングに絵を飾る勇気がない場合は、まずはトイレの壁紙や玄関の脇など小さなスペースからはじめてみるのもおすすめです。日頃からアートに触れる生活に、チャレンジしてみてください。