横浜スタジアム定員8割でコロナ対策検証 30日から神奈川県や横浜市

横浜スタジアム

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は15日、横浜スタジアムのプロ野球の試合で感染防止に役立つ新技術を導入した検証調査を行うとする政府の方針を了承した。球場内に満員近い定員の8割程度の観客を収容し、10月30日から11月1日までの3日間実施する。検証結果は政府のイベント開催制限の緩和に向けた判断材料として活用する方針だ。

 国内初の取り組みで、検証調査には神奈川県や横浜市に加え、IT大手のディ-・エヌ・エ-などが参加する。横浜DeNAベイスタ-ズの主催試合を対象に、高精細カメラを用いて球場内のマスク着用率や人の動き、密度などを把握。理化学研究所のス-パ-コンピュ-タ-「富岳」でマスクを着用した状態で観客が声援を送った際の唾液などの飛沫の広がり方をシミュレ-ションする。

 さらに、感染者と濃厚接触した可能性を知らせる厚生労働省のスマ-トフォン向け接触通知アプリ「COCOA(ココア)」の使用も推奨。場内アナウンスや警備員によるマスク着用と消毒の徹底の呼び掛け効果も確かめるという。

 政府の指針では11月末まで、プロ野球やサッカ-Jリ-グといった定員1万人超の大規模イベントの上限は会場の収容人数の50%としている。検証調査で得られた結果を開催基準の緩和やガイドラインの見直しにつなげたい考え。15日夜に会見した西村康稔経済再生担当相は「収容率を上げたり、人数が増えたりしても感染リスクをコントロ-ルできるか。できるだけ多くのデ-タや実績を積み重ねたい」と期待。初日は収容人数の80%を上限とし、問題がなければ2日目は90%、3日目は満員で実施する考えを示した。

 分科会での了承を受け、黒岩祐治知事は同日、県庁でディ-・エヌ・エ-の南場智子会長と意見交換した。黒岩知事は記者団に「万全の態勢で最新鋭の技術を結集し、これならできるというモデルを見せたい」と強調。来夏に延期になった東京五輪・パラリンピックも見据え、「五輪の成功に向けて大きな一歩になることを期待したい」と話した。南場氏は「感染症対策の徹底と文化の両立に向け、検証をしっかりやっていきたい」と話した。

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