V長崎・氣田 出場18戦目…つかんだプロ初ゴール

【愛媛-V長崎】後半15分、V長崎の氣田がプロ初ゴールとなるPKを決め、ガッツポーズする=松山市、ニンジニアスタジアム

 GKの真正面に置かれたボールを前に、氣田は念じていた。
 1-1の後半15分、自ら得たPK。「駆け引きはいらない。自分を信じろ。真ん中に蹴る」。ゆっくりとした助走から放ったシュートが、ついにネットを揺らした。出場18戦目にしてつかんだプロ初ゴール。苦しみ抜いたルーキーが、呪縛から解き放たれた。
 V長崎は序盤から圧倒的に主導権を握りながら、スコアを動かせない時間が続いた。ようやく後半に先制したのもつかの間、1分後に失点。その重苦しい空気を打ち破ったのが、背番号18だった。
 後半12分、強引に切り込み、ゴール左からシュート。このチャンスはブロックで防がれたが、1分後に今度は右サイドから鋭く仕掛けると、たまらず相手が足を出した。値千金のPK獲得。自らキッカーを務め、チームを3戦ぶりの勝利に導く決勝ゴールにつなげた。
 シーズン前のトレーニングマッチではチーム得点王。だが、いざ公式戦となると結果を残せない日々が待っていた。「自分が決めていれば勝てていた試合が多かった。そのたびに自分を責めて、まだまだ努力が足りないと言い聞かせてきた。信じて使い続けてくれた監督、サポートしてくれたチームメートに感謝したい」。試合後のインタビューでは感極まり、声を詰まらせるシーンも。苦しんだ分、喜びも大きい。特別な夜になった。

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