久々の“クルーズ船”歓迎 感染防止と経済 両立に期待 長崎県・佐世保

佐世保市職員らの歓迎を受けながら、観光地へ向かうクルーズ船の乗客=同市、佐世保港新みなと岸壁

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い全国で中断していたクルーズ船の寄港が、長崎県佐世保港で再開した。国内での商業運航は2月以来8カ月ぶり。船会社は国内の短期旅行から徐々に運航を始める予定で、佐世保市の観光関係者は「感染防止と経済活性化を両立させてほしい」と期待を寄せる。
 「ようこそ佐世保港へ」。「にっぽん丸」が寄港した26日朝、市中心部にある新みなと岸壁に市民らが集まり、横断幕を掲げるなどして久々の“来客”を歓迎した。クルーズ船の乗客は、国の観光支援事業「Go To トラベル」の対象。時間に余裕があるシニア層のほか、カップルや家族連れらが続々と下船した。
 同市ではクルーズ船のさらなる誘致に向け、今夏、浦頭地区に新たな国際クルーズ拠点を整備したが、コロナ禍で「開店休業状態」に。同市と佐世保観光コンベンション協会は職員2人をにっぽん丸に乗船させ、船内で旅行客に佐世保の魅力をアピール。同協会の飯田満治理事長は「これほど早く再開できるとは予想していなかった。率直にうれしい」と喜ぶ。外国人が多い国際クルーズ船と比べ客数は少ないが、言葉の壁がなく、観光地での消費拡大も見込めるという。
 クルーズ船を巡っては、2月に横浜港に停泊中の「ダイヤモンド・プリンセス」で集団感染が発生。その後、全国各地での運航が中止に追い込まれた。同市のある観光関係者は「感染者を出せば、これまでの努力は一瞬で吹き飛ぶ。感染対策を万全にしてほしい」と注文する。
 佐世保港に入ったにっぽん丸は、年末まで2泊3日以内で運航し、乗客数は最大定員(532人)の4~6割程度に抑える方針。採算面は「かなり厳しい」が、本格的な運航を見据えて「全国の自治体と協議を進め、寄港地を増やしたい」とする。
 複数の国内クルーズ船会社は11月以降、近距離の運航から営業を始める予定。横浜港や神戸港などを出発し、油津港(宮崎県)や鹿児島港(鹿児島県)、別府港(大分県)などに寄港する旅行商品が企画されている。長崎港への寄港は予定されていない。


© 株式会社長崎新聞社