カージナルスがウォンのオプションを破棄 今季の無観客開催も影響か

カージナルスのジョン・モゼリアック野球部門社長は日本時間10月29日、正二塁手コルテン・ウォンの来季の契約オプション(年俸1250万ドル)を破棄したことを発表した。これに伴い、ウォンはバイアウトの100万ドルを受け取ってフリーエージェントとなる。球界有数の好守の二塁手として知られるウォンだが、コロナ禍における財政状況の不確実性により、カージナルスはウォンのオプション破棄という厳しい選択を強いられることになった。

モゼリアックは「我々は(再契約に向けて)ドアを開けておくことで合意した」と語っており、ウォンがカージナルスに残留する可能性が完全に消滅したわけではない。しかし、ウォンはインスタグラムを更新してチームやファンへの感謝の言葉を綴っており、カージナルスと再契約を結ぶ可能性は低いと見られている。

現在30歳のウォンは、2019年に自己最高のシーズンを過ごし、打率.285、11本塁打、59打点、24盗塁、OPS.784をマークしたのに加えて自身初のゴールドグラブ賞を受賞。今季は長打が激減し、53試合に出場して打率.265、1本塁打、16打点、5盗塁、OPS.675に終わったが、出塁率.350とリードオフマンとしての最低限の役割は果たし、ゴールドグラブ賞のファイナリストにも名を連ねている。

しかし、今季がポストシーズンの一部の試合を除いて無観客での開催となり、来季もどれくらいの観客を入れられるか不透明な状況である以上、カージナルスは年俸1250万ドルの契約オプションを行使するという選択ができなかった。球界有数の好守を誇るウォンは多くの球団にとって魅力的な存在であり、カージナルスを含めた複数球団による争奪戦が繰り広げられるのは間違いないだろう。

カージナルスからはウォンのほか、ヤディアー・モリーナ、アダム・ウェインライト、マット・ウィータース、ブラッド・ミラーがフリーエージェントとなっており、モゼリアックは戦力維持のために難しい舵取りを強いられそうだ。なお、ウォンと再契約できなかった場合、トミー・エドマンを正二塁手として起用することが有力視されている。

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