10月・長崎県内経済情勢 一部持ち直しの動き GoTo効果も一因

 長崎財務事務所は10月の長崎県内経済情勢報告をまとめた。総括判断は新型コロナウイルスの影響で引き続き「厳しい状況」としながらも「一部に持ち直しの動きがみられる」と2期連続で上方修正した。個人消費は、新型コロナの影響が残るものの、飲食料や衛生用品などの販売額が増え「緩やかに持ち直しつつある」と判断を引き上げた。

 個人消費のうち観光は、8月の主要観光施設の入場者数が前年同月比71.4%減となるなど落ち込みが大きい。ただ、足元(10月)では政府の観光支援事業「Go To トラベル」の効果も一因に個人客が戻りつつあり、丸山徹所長は「感染の動向を注視する必要はあるが、回復の兆しが見えつつある」とした。
 百貨店・スーパーの販売額は、調理家電や冷凍、インスタント食品が伸びたほか、催事を再開したことで前年を上回った。家電大型専門店、ホームセンター、ドラッグストアの各販売額は、1人10万円の特別定額給付金の効果で衛生用品やパソコン、テレワーク関連商品などが増加し、前年を上回った。
 生産活動は、電子部品・デバイスがおおむね横ばい。汎用(はんよう)・生産用機械は厳しい受注環境が続く。大手造船は一定の操業を確保しているが、船主の投資意欲が減退し受注環境は厳しい。雇用情勢は有効求人倍率の低下が続き「弱い動き」となっている。
 先行きについて同事務所は「感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、各種政策の効果もあって持ち直しの動きが続くことが期待される」とした。

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