フローリング補修はDIYで可能? ダメージ別補修方法から業者の相場まで解説

長く暮らしていれば、住まいは徐々に劣化していくものです。とくに足元を支えているフローリングは、ちょっとしたことで傷や凹みができ、年月とともに目立ってきます。傷、はがれ、凹みのダメージが目立つフローリングでは、人を招くのも気が引けてしまいます。今回は、フローリングの簡単なDIY補修方法や、業者依頼の費用相場を解説します。

フローリングのダメージ要因とは

フローリングは普通に生活しているだけでも自然と劣化しますが、普段の生活で気をつけていれば、大きな傷や汚れは防ぐことが可能です。それでも、どんなに注意していても多少の擦れや傷はついてしまいます。ここではフローリングへダメージを与えてしまう要因を紹介します。

家具などの重さの圧によるもの

フローリングにダメージを与える原因の多くは、家具の重さによるものです。タンスや本棚などの重い家具は床にかかる圧力も強いため、フローリングへの影響が大きくなります。中に洋服や本を詰め込んでいる場合、さらにフローリングへのダメージリスクは高くなります。

椅子やテーブルも、フローリングを傷つける要因のひとつです。椅子の脚は人が座っても耐えられるように硬い材質でできています。フローリングに柔らかい無垢の木材を使用していると、簡単に凹みができてしまいます。家具の圧によるダメージを減らすためにも、収納家具には物を詰め込みすぎない、椅子の下には板やマットを敷いて荷重を分散させるなどの工夫をしましょう。

油や薬品などの汚れ

木材のフローリングは水分が苦手です。水をこぼしてそのままにしてしていると、色抜けや歪みによる変形、カビの発生や腐食などでフローリングを傷つけてしまう原因となります。また、油や薬品はフローリングに染み込みやすいため注意が必要です。

日常生活で使う醤油やコーヒー、サラダ油、ドレッシングもフローリングのダメージにつながります。万一こぼしてしまったら、放置せずすぐに拭き取りましょう。また、拭き残しがないように十分に清掃をして、フローリングをダメージから守ってください。

掃除機のモーターヘッド

綺麗にするための掃除機が、フローリングを傷つける原因に。モーターヘッドのない掃除機や、柔らかいブラシタイプを選んで

部屋をきれいにするために掃除をしたつもりが、フローリングへダメージを与えてしまうこともあります。代表的なものが掃除機のモーターヘッドです。掃除機にもいろいろな種類がありますが、最近の掃除機には、吸引部にゴミの除去力を高めるモーターヘッドがついているものが主要です。

絨毯やカーペットの奥にあるゴミを絡め取ってくれるものですが、フローリングに使用する際には注意が必要です。高速回転するブラシがフローリング表面を削り取り、細かい傷がついて変形や腐食が起きたり、汚れが付着しやすくなります。

フローリングになるべくダメージを与えないためにはモーターヘッドのない掃除機、または柔らかいブラシのついたものを選びましょう。また、本体を引きずるタイプの掃除機は本体のローラーでフローリングを傷つける可能性があります。スティックタイプの掃除機をおすすめします。

フローリングの補修「自分でできるかどうか」の判断は?

気をつけて生活していても、ちょっとした擦り傷や凹み、はがれやカビといったフローリングのダメージは発生してしまいます。フローリングの損傷は放置すると徐々に悪化していくため、気がついたら手のつけられない状態になってしまうことも。

元の状態のように完璧に補修するとなると業者に依頼するべきですが、簡単な補修であれば、一般の方でも可能です。また、初期の軽度なダメージであれば費用もそれほどかけることなく、簡単に補修作業が可能です。ここではフローリングの補修作業の方法を紹介します。

「一時的に目立たなくする」という処置

フローリングのダメージには「種類」があります。よくあるのが擦り傷や凹み、はがれで、椅子など日常的に使う家具によって簡単についてしまいます。床鳴りやカビも築年数が古い住居ではよく見られるものです。

フローリングのダメージは、基本的に軽度なものであれば自分で補修することが可能です。もちろん素人が行う作業になるため、完璧に直すのではなく、あくまでも「一時的に目立たなくする」ものだと認識しておきましょう。

古い住居で15年以上使用している場合は、そもそもフローリングの寿命が近づいているため、一時的に補修しても、またすぐに傷ついたらカビや床鳴りが再発する可能性があります。寿命が近く、すぐにダメージが発生するようであれば、業者に依頼してリフォームした方が無難です。

自分でできるフローリング補修DIY方法

フローリング補修のDIYは「一時的に目立たなくする」ことが目的です。専門業者の補修のように、パテで傷や凹みを埋めてサンドペーパーで削り、仕上げ塗装をして元の状態のように戻す、といった完璧な処理は不可能です。

擦り傷なら色を塗る、はがれなら接着剤で再接着する、カビならアルコールで拭き取る、といった簡易的なものになります。それ以上のクオリティを求めると失敗してしまう可能性があります。賃貸などの場合は無理に補修しようとして退去時に余計な補修費用を要求されるケースもあるため、注意しましょう。

擦り傷、引っかき傷の対処方法

フローリングにつきやすい細かなキズは100均のシールやクレヨンが便利。簡単な作業でキズを目立たなくできる

フローリングのダメージでもっとも多いのが擦り傷・引っかき傷です。これらの傷の対処には、ホームセンターなどで購入できる補修DIYキットを利用しましょう。まずは傷によりささくれ立ってしまっている部分を削って取り除き、周囲をなるべく平らにします。

その後、傷の部分にパテや樹脂などの補修材を塗り、ヘラでなじませてます。電気ゴテで補修部分を平らにしたら、フローリングと似たような色のペンやキットに付属するマニキュアなどで木目を再現して完成です。

もっと簡単に補修するのであれば、100均のフローリング傷隠し用のシールを貼り付けたり、クレヨンで傷を埋めるといった簡単な方法もあります。傷の大きさによっては、こちらの方法もおすすめです。

はがれの補修方法

フローリングのはがれは、広がらないうちに直しておくことが大切。接着剤を使って固定、隙間はパテで埋め、やすりでなじませればOK

フローリングのちょっとしたささくれを取り除こうとたら、想像以上に床がはがれてしまうケースもあります。この場合は、はがれた部分を接着剤で固定して補修しましょう。はがれた木片がすべて見つからない場合、隙間ができてしまった部分については、パテを使ってきれいに埋め、やすりでなじませます。

パテ部分はスプレーでツヤを出しておけばより自然になります。はがれ部分を放置してしまうと、さらにダメージが拡大しフローリングを総張り替えすることになります。簡単に補修できるうちにメンテナンスしておきましょう。

凹み、床鳴りの補修方法

ちょっとした傷やはがれは、DIYでの補修も可能です。凹みや床鳴りといったフローリングの下地や土台の状態に問題がある場合は、個人で直すには限界があります。軽い凹み程度であれば補修することができます。木材には水分を吸収して膨らむ性質があるため、それを利用すれば一時的な応急処置が可能です。

まずはフローリングの凹み部分に濡らした雑巾を置いて、上からアイロンをあてます。蒸気をフローリングにしっかり吸収させると、軽い凹みが直ります。床鳴りは、応急処置であれば対応可能です。ホームセンターなどで販売されている「床鳴り補修キット」を使用しましょう。

日焼け、色あせの補修方法

フローリングは日焼けしやすい。状態によってオイルの種類、コーティング手順も異なるため、不安な場合は業者に依頼を

西日が差す大きな窓近くのフローリングは、日焼けや色あせに注意が必要です。遮光カーテンなどを設置していない場合は、より日焼けしやすくなります。日焼け・色あせの補修はワックスやニス、オイルステインでコーティングを行います。ホームセンターなどで購入できるため、ご自宅のフローリングカラーに近いものを選びましょう。

また、床の仕上げ状態によっては、使うコーティング剤や塗料が変わります。必ず仕上げの状態を確認し、補修剤の注意書きを読んでから購入してください。とくに塗装・コーティング済み無垢材フローリングは専用の塗料・手順があるため、注意が必要です。難しい場合は専門業者に補修を依頼しましょう。

《おすすめ》小さな変色には「補修ペン」が便利

窓際の結露や洗剤の飛び跳ねなどちょっとした変色やシミは、市販の補修ペンで直すことができるので、DIYで補修しましょう。まずは変色部および周辺の汚れをしっかり拭き取りドライヤーで乾燥させます。補修部分の周囲はマスキングテープを貼り、余分な塗装を防ぎます。

補修ペンでの色付けは最初に薄く塗り、ある程度乾いたらまた塗っていきます。塗り重ねることで色の調整がしやすく失敗しにくくなります。小さなシミにはこの補修ペンを活用しましょう。

シミやカビは簡単に修復できる

結露によるフローリング表面のシミには、台所用洗剤を活用しましょう。中性洗剤をぬるま湯にたらし、その液体を布に染み込ませて優しく拭きます。何度か拭いていくとシミも消えていきます。なお、漂白剤はフローリングを傷める可能性があるため避けましょう。

カビには除菌用アルコールスプレーがおすすめです。カビに直接スプレーし、乾いた布で拭き取ります。アルコールをかけたまま放置するとフローリングが変色するため、早く拭き取ってください。何度やってもカビが取れない場合はフローリングの深部にカビが浸透している可能性があります。業者依頼を検討しましょう。

広範囲の色あせや変色には再塗装もおすすめ

結露やカビ、経年劣化などさまざまな理由でフローリングの広範囲に色あせ・変色・擦り傷のダメージが発生している場合は、研磨や再塗装もおすすめです。ちょっとしたダメージには簡易的な補修で構いませんが、広範囲となると材料費がかかるうえ、仕上がりを均一にするのも困難です。そういった意味でも、思い切って、研磨や再塗装したほうが綺麗に仕上がります。

フローリングの保護に「ワックス」をかける

「ダメージに強いフローリングにする」ことは、美しいフローリングを維持するために最も大切なこと

フローリングの補修方法を知ることはもちろん、「傷つけにくいフローリングにする」という考え方も大切です。フローリングの保護にはワックスがけが有効で、定期的に行えば傷や汚れに強いフローリングになります。補修の手間も省けるうえ、補修にかける費用も抑えることができます。

ポイント① 天気の良い日に行う

ワックスがけを効率よく行うには天気の良い日がおすすめです。ワックスは乾燥するのにそれなりに時間を必要とするため、カラッと晴れた日が最適です。雨の降る湿気が多い日では、余計に時間がかかってしまいます。

また、風の強い日も避けましょう。ワックスをかける際には換気のために窓を開けて行うため、風が強いと部屋に砂埃が舞い込みます。せっかくワックスがけしたフローリングにホコリが付着すると、デコボコしてしまいます。

ポイント② 既存のワックス剤をはがす

ワックスがけする場合は、仕上げを美しくするために、必ず古いワックス剤を取り除きましょう。既存のワックス剤をはがさずに上塗りすると、傷やデコボコが余計に目立ってしまいます。ワックスはがし自体は簡単にできるので、ぜひ実践しましょう。

ポイント③ 薄く、二度塗りする

ワックスは薄く二度塗りするのがポイントです。1回では塗りムラや塗り残しが出てしまう可能性があり、3回以上だと乾燥時間が増えて効率が下がります。天気の良い日に水性ワックスを薄く塗った場合は30分~1時間程度で乾きます。じっくり二度塗りしても3時間あれば終えられます。

フローリングのお手入れ方法については、こちらも参考にしてください。

無垢フローリングのお手入れ方法|塗装の種類によるメンテナンスの違いと汚れたときの対処法も紹介

自分でフローリングを補修する際の注意点

お住まいの物件によっては、自分でフローリングを補修するのはリスクが伴う可能性があります。次に、DIYでフローリングを補修する際の注意点を解説します。

賃貸物件は勝手にリペアすると退去時に揉める可能性も

賃貸している物件のフローリングを傷つけてしまい、「退去時に補修費用を取られたくない」という思いから補修をする人がいますが、勝手にリペアすることで退去時にトラブルになる可能性があります。簡易的な補修材でリペアされたフローリングは、大家さんや管理会社からは「直った」と判断されにくく、結局補修費用を請求されてしまいます。

賃貸物件は「原状回復」が原則で、下手な補修はマイナス要素になります。無理に直すよりもそのままにしておいたほうが無難です。どうしても直したい場合は管理会社等に連絡をして許可を取りましょう。

賃貸にはシートタイプがおすすめ

賃貸に入居したら、フローリングの「保護」という意味でシートを敷くアイデアも。退去時まで美しい床を保つことが可能

賃貸物件でどうしてもフローリングをリペアしたい場合はシートタイプのフローリングリフォーム材がおすすめです。厚みのある丈夫なパネルもありますが、段差ができる、重くて設置しにくいデメリットがあります。シートタイプは薄くて軽量で、設置もしやすく、値段も安いため、簡易的な補修に適した素材です。

また、元のフローリング保護という観点から、入居直後にシートを設置するのもおすすめです。退去時に美しいフローリングのままであれば、敷金をより多く手元に戻すことができます。

間違った補修方法で、フローリングを劣化させてしまう

ちょっとしたフローリングの補修は簡単に行えます。しかし、間違った方法で補修することでフローリングを劣化させてしまうケースも多いことを覚えておきましょう。たとえば、フローリングの一部が腐食していた場合、プロやDIYに慣れている方ならば腐食部分を取り除いてから新しい板やパテで補修します。

DIYに慣れない人は腐食部分の上にパテを塗って、ほかの部分まで腐食させてしまう、といったケースをはじめ、パテの盛りすぎや塗りムラで仕上がりが悪くなるなどの、単純な失敗例もあります。本格的なフローリングの補修で美しい仕上がりを目指すのであれば、プロのリフォーム業者に依頼をすることをおすすめします。

フローリング補修を業者に依頼する場合の費用について

本格的なフローリングの補修・メンテナンスは無理せず業者に依頼するのが無難。業者の費用設定、相場について解説

床鳴りや大きな凹み、広範囲の傷・はがれを本格的に補修する場合は業者に依頼して、きれいに直してもらいましょう。次にフローリング補修を業者に依頼する場合の費用について説明します。

補修費用は「作業内容」でなく「作業時間」で決められる

フローリングの補修は、作業内容よりもかかった時間によって金額が決められるケースがほとんどです。一般的な基本料金としては半日で1万5000円程度、1日なら3万円程度が相場です。作業時間はフローリングの材質や傷の状態によって変化します。

大規模な補修であればそれだけ時間がかかるので、金額も高くなります。タンスなどを移動する際に引きずってできた擦り傷、椅子などによる凹みなどが数カ所ある程度なら、半日で補修可能です。

傷の大きさや種類によっても費用は異なる

傷の種類が多い、範囲が大きい場合にはそれなりの補修時間が必要となるため費用は高くなります。ただ、1日あれば5~10カ所の補修に対応可能のため、高くても基本料金3万円程度をイメージしておきましょう。傷の状態によっては床を重ね張りしたり張り替えたりなど大規模補修が必要になるケースもあります。そういった場合は別途料金がかかる場合もあります。

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