部活動強化で長時間労働 女性顧問1600万円求め提訴 私立高運営の学校法人に

 長崎県内の私立高校で運動部の顧問を務める50代女性が、部活動強化のために長時間労働をしたにもかかわらず適切な賃金が支払われていないとして、運営する学校法人に未払い賃金など計約1600万円を求める訴訟を起こし、第1回口頭弁論が29日、長崎地裁(堀田秀一裁判官)であった。法人側は請求の棄却を求めた。
 訴状によると、女性は高校の事務職員として勤務しながら部員を自宅で下宿させており、食事づくりや送迎、練習の指導に終日励んでいる一方、法人側は割増賃金の支払いはおろか、他の運動部の顧問と同等の手当すら支払おうとしないとしている。
 女性は意見陳述で、法人側に経済的支援を求めてこれまで何度も交渉したが、「自己犠牲のもとやれ」「嫌ならやめろ」など批判されたと主張。部活動強化で特色を出している学校に貢献したい、選手たちを育てたい一心だったとして「部活動は立派な労働時間。生徒の管理環境も整えないまま、生徒の獲得を要請する矛盾に早く気付いてください」と述べた。
 法人側は取材に対し「係争中のためコメントを差し控える」としている。

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